2強を追うのは、こちらも神宮大会で熱戦を繰り広げた仙台育英と沖縄尚学だ。
昨年夏の甲子園で初優勝を果たした仙台育英は、胴上げ投手となった右腕・高橋煌稀をはじめ、右の湯田統真、左の仁田陽翔と、夏のマウンドを経験した投手が3人残っているのが強み。左の田中優飛も140キロ台中盤のストレートを誇り、冬を越えて投手陣に加わる選手も多そうだ。展開次第だが、ローテーションを組んで決勝から逆算する投手起用が春も見られるかもしれない。
野手も1番・センターの橋本航河、2番・ショートの山田脩也、4番・ライトの齊藤陽、5番・キャッチャーの尾形樹人と中軸がそのまま残り、1年生二塁手の湯浅桜翼が3番に台頭するなど、新戦力も育っている。「東北大会までは守備優先でメンバーを決めた」と須江航監督は話しており、冬の競争で秋とはガラッとメンバーが変わってくることが予想される。史上5校目の夏春連覇を狙うチームとして、今春も注目を集めそうだ。
9年ぶりに九州大会を制した沖縄尚学は、145キロ右腕の東恩納蒼が大黒柱。神宮大会の仙台育英戦では9回に5点を奪われ逆転サヨナラ負けを喫したが、8回までは無失点と好投しており、収穫も多い秋だったと言えるだろう。控えの照屋希空の父は、比嘉公也監督とともに99年のセンバツで優勝した時、マウンドに立っていた正悟さん。親子でセンバツ優勝を目指すという話題性にも注目だ。
打者では1番センターの知花慎之助が九州大会4試合で打率.714と大暴れ。神宮でも仙台育英の投手陣を相手に3打数2安打2四死球と打線を牽引し、高校日本代表関係者からも絶賛の声が聞かれた。東浜巨(現ソフトバンク)がエースだった08年以来、15年ぶりの春優勝を狙う。
この他にも、19年の平成最後のセンバツで優勝高となった東邦も、最速149キロを誇る本格派・宮國凌空を擁している。神宮大会では大阪桐蔭に完敗したが、巻き返すだけの力は持っている。石川瑛貴主将の兄は19年優勝時の4番エースでキャプテンだった昂弥(現中日)で、兄弟で紫紺の優勝旗を手にできるだろうか。
関東ナンバーワンと評判の右腕・平野大地を擁する専大松戸にも注目したい。最速は151キロを記録し、ドラフト上位候補に名が挙がる。秋は県大会で肋骨を痛めた影響が心配されたが、関東大会では力をセーブした投球術で準優勝へと導いた。万全の状態で臨めれば、全国の強打者相手にどんなピッチングを披露するかが楽しみだ。
高校ナンバーワン捕手・堀柊那を要するのが報徳学園。二塁送球1.8秒台前半を記録する強肩が武器で、近畿大会準々決勝で履正社に1つだけ盗塁を許した以外はすべて阻止している。松川虎生(ロッテ)、松尾汐恩(DeNA)と、過去2年続いた”高校生捕手ドラ1”に、堀も名を連ねることができるかに注目したい。
組み合わせ抽選会は3月10日、大会は同18日から14日間にわたって開催される。果たして今年はどんな熱戦が繰り広げられるのか、今から楽しみだ。
文●松倉雄太(スポーツライター)
【著者プロフィール】
まつくら・ゆうた/1980年12月5日生まれ。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『報知高校野球』などに寄稿している。ABCテレビ『速報甲子園への道』、『熱闘甲子園』、スカイA『明治神宮大会中継』などのリサーチャーとしても活動中。
昨年夏の甲子園で初優勝を果たした仙台育英は、胴上げ投手となった右腕・高橋煌稀をはじめ、右の湯田統真、左の仁田陽翔と、夏のマウンドを経験した投手が3人残っているのが強み。左の田中優飛も140キロ台中盤のストレートを誇り、冬を越えて投手陣に加わる選手も多そうだ。展開次第だが、ローテーションを組んで決勝から逆算する投手起用が春も見られるかもしれない。
野手も1番・センターの橋本航河、2番・ショートの山田脩也、4番・ライトの齊藤陽、5番・キャッチャーの尾形樹人と中軸がそのまま残り、1年生二塁手の湯浅桜翼が3番に台頭するなど、新戦力も育っている。「東北大会までは守備優先でメンバーを決めた」と須江航監督は話しており、冬の競争で秋とはガラッとメンバーが変わってくることが予想される。史上5校目の夏春連覇を狙うチームとして、今春も注目を集めそうだ。
9年ぶりに九州大会を制した沖縄尚学は、145キロ右腕の東恩納蒼が大黒柱。神宮大会の仙台育英戦では9回に5点を奪われ逆転サヨナラ負けを喫したが、8回までは無失点と好投しており、収穫も多い秋だったと言えるだろう。控えの照屋希空の父は、比嘉公也監督とともに99年のセンバツで優勝した時、マウンドに立っていた正悟さん。親子でセンバツ優勝を目指すという話題性にも注目だ。
打者では1番センターの知花慎之助が九州大会4試合で打率.714と大暴れ。神宮でも仙台育英の投手陣を相手に3打数2安打2四死球と打線を牽引し、高校日本代表関係者からも絶賛の声が聞かれた。東浜巨(現ソフトバンク)がエースだった08年以来、15年ぶりの春優勝を狙う。
この他にも、19年の平成最後のセンバツで優勝高となった東邦も、最速149キロを誇る本格派・宮國凌空を擁している。神宮大会では大阪桐蔭に完敗したが、巻き返すだけの力は持っている。石川瑛貴主将の兄は19年優勝時の4番エースでキャプテンだった昂弥(現中日)で、兄弟で紫紺の優勝旗を手にできるだろうか。
関東ナンバーワンと評判の右腕・平野大地を擁する専大松戸にも注目したい。最速は151キロを記録し、ドラフト上位候補に名が挙がる。秋は県大会で肋骨を痛めた影響が心配されたが、関東大会では力をセーブした投球術で準優勝へと導いた。万全の状態で臨めれば、全国の強打者相手にどんなピッチングを披露するかが楽しみだ。
高校ナンバーワン捕手・堀柊那を要するのが報徳学園。二塁送球1.8秒台前半を記録する強肩が武器で、近畿大会準々決勝で履正社に1つだけ盗塁を許した以外はすべて阻止している。松川虎生(ロッテ)、松尾汐恩(DeNA)と、過去2年続いた”高校生捕手ドラ1”に、堀も名を連ねることができるかに注目したい。
組み合わせ抽選会は3月10日、大会は同18日から14日間にわたって開催される。果たして今年はどんな熱戦が繰り広げられるのか、今から楽しみだ。
文●松倉雄太(スポーツライター)
【著者プロフィール】
まつくら・ゆうた/1980年12月5日生まれ。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『報知高校野球』などに寄稿している。ABCテレビ『速報甲子園への道』、『熱闘甲子園』、スカイA『明治神宮大会中継』などのリサーチャーとしても活動中。