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大谷の新たな代名詞として定着する日が来る?「MLB変化球トレンド史」から読み解くスイーパーの位置付け<SLUGGER>

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2023.04.19

カット・ファストボールと言えばリベラ。ヤンキースの絶対守護神として、MLB史上最多692セーブを挙げた。(C)Getty Images

カット・ファストボールと言えばリベラ。ヤンキースの絶対守護神として、MLB史上最多692セーブを挙げた。(C)Getty Images

 その直後、今度は打者たちが新たなムーブメントを生み出す。日本でも話題になった「フライボール革命」だ。データ解析の結果、「最も長打を生みやすい打球速度や打球角度」が判明したことで、多くの打者が長打量産に適したアッパースウィングに改造。2シーム/シンカーを低めに集める投球を身上としていた投手たちは、次々にそうした打者たちの餌食となっていった。

 最新機器を駆使したデータ分析は、投手にとっての新たなトレンドももたらした。ボールの回転数や回転軸などから効果的な投球を模索する試みが浸透した結果、「高回転の4シームとカーブ」を軸としたスタイルが流行した。これはフライボール革命対策としても有効で、現在も広い支持を集めている。そして、スイーパーの流行も「データ解析に基づく効果的な投球の模索」に連なる流れと言っていいだろう。
 アメリカでは、MLB球団はもちろんのこと、民間のトレーニング施設や研究機関が「最適な投球、最適な打撃」を模索して日々研究と試行錯誤を重ねている。伸び悩み中の投手が新たな投球法を習得して一夜のうちにブレイクする、といった姿も今では珍しくなくなった。

「MLBの変化球トレンド史」の中で、スイーパーは今後どのように位置付けられていくのか。リベラにとってのカッターと同じように、いつかスイーパーが大谷の代名詞となる日が来るかもしれない。

文●久保田市郎(SLUGGER編集長)
 
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