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プロ野球

岐路に立つ「1988年世代」の野手陣。坂本勇人は史上最年少での名球会入りも。柳田悠岐は巻き返しを期す

藤原彬

2019.12.08

 福田秀平はソフトバンクに在籍した13年間でレギュラーの座を掴めずも、内外野を守れるユーティリティとして立場を確立。今季、80試合の出場で記録した「9本塁打&9盗塁」は、単純に規定打席ペースで計算すると「22本塁打&22盗塁」になる。今オフにFA宣言すると人気を集め、6球団と交渉の末にロッテへの移籍を決断した。

 同じく、木村文紀(西武)も昨季までは定位置確保に手が届かない存在だったが、今季は自身2度目の2ケタ本塁打(10本)。特にチームが17勝10敗と上位を猛追した8月は、6ホーマーを叩き込んで勢いを後押し。初の規定に2打席及ばずも、強力“山賊打線”の一角を占めた。

 当時のドラフトで坂本より先に巨人から指名された堂上直倫(中日)も、自身初の2ケタ本塁打(12本)をマーク。6月4日のソフトバンク戦では代打満塁弾を放ち、史上初となる兄弟記録に名を刻んだ。オフには3年契約の1年目だったことを明かし、来季は真価が問われるシーズンになる。
 
 対照的に、世代の枠を超えてベストプレーヤーでもあった柳田悠岐(ソフトバンク)はトーンダウン。4月に左ヒザを痛めて長期離脱すると、オフには右ヒジを手術した。チームは日本一に輝いたが、シーズンでは西武に追い抜かれてリーグ2位。その存在がチームの勝敗に直結するだけに、万全の状態に戻してのプレーが望まれる。

 梶谷隆幸(DeNA)も度重なる故障と右肩の手術で、2年連続41試合の出場にとどまるなど停滞が続く。「打」と「走」で大きくチームの力となれるだけに、筒香嘉智が抜けるダメージを最小限にとどめる“補強”となりたい。

 大学日本代表で主将とリードオフを務めた伊志嶺翔大は、10年ドラフト1位でロッテに入団して1年目から32盗塁。その後はチーム内の外野手争いでポジションを確保できず、今季限りでの引退を発表して、一軍走塁コーチ兼打撃コーチ補佐兼外野守備走塁コーチ補佐に就任した。

 11年に育成ドラフト2位でソフトバンクに入団した亀澤恭平は3年で支配下を勝ち取れず、14年オフに中日へ移った。17、18年は100試合前後の出場で、ともに打率.280超えと結果を残したが、今オフに戦力外通告。来年は琉球ブルーオーシャンズで現役を続行する。

 鳴り物入りで入団した選手が多い同世代の投手たちと比べて、「1988年世代」の野手はプロ入り後に着実なステップを重ね、球界を代表する選手に上り詰めた選手が多い。キャリアの分岐点に立つ彼らは来季、どのようなパフォーマンスを披露するだろうか。

文●藤原彬

ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。

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