では、そんな秋広がなぜプロ入り3年目という早さでブレイクすることができたのだろうか。一つ大きいのは身体の強さと意外な器用さである。1年目の21年に二軍で300打席に立った高校卒ルーキーは5人いるが、甲子園出場経験がないのは秋広だけである。高校までは投手の練習もしていたはずで、そこからいきなり野手の練習に取り組んで1年間試合に出続けられるというのは体の強さの証明と言えるだろう。
そして、この5人の中で三振数、三振率が最も少なかったのも秋広だったのだ。さらに翌年には100打席近く打席数を増やしているにもかかわらず、トータルの三振数は減少している。ホームランの数に関しては1年目は8本、2年目は9本と微増にとどまっているが、元々低くなかった対応力がさらに磨かれており、それが今年の一軍での高打率に繋がっていると言えそうだ。
秋広がここまで早く一軍の主力になると考えていた関係者は少なかったはずで、プロ入り後に相当なトレーニングを重ねたことは間違いない。また、若手の大型野手が不足しているというチーム事情も秋広の抜擢の後押しとなっている。
今後の秋広に期待したいことは、さらなるパワーアップだ。現在も時折目を見張るような打球を放つことがあるが、まだその割合は高くない。多少打率は下がったとしても、もう少しホームランが増えた方が相手にとっても怖い打者になるはずだ。背番号55の大先輩である松井秀喜はプロ入り4年目に大幅にホームラン数を増やしてセ・リーグを代表する強打者となった。秋広も同じような成長曲線を描いてくれることを期待したい。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
そして、この5人の中で三振数、三振率が最も少なかったのも秋広だったのだ。さらに翌年には100打席近く打席数を増やしているにもかかわらず、トータルの三振数は減少している。ホームランの数に関しては1年目は8本、2年目は9本と微増にとどまっているが、元々低くなかった対応力がさらに磨かれており、それが今年の一軍での高打率に繋がっていると言えそうだ。
秋広がここまで早く一軍の主力になると考えていた関係者は少なかったはずで、プロ入り後に相当なトレーニングを重ねたことは間違いない。また、若手の大型野手が不足しているというチーム事情も秋広の抜擢の後押しとなっている。
今後の秋広に期待したいことは、さらなるパワーアップだ。現在も時折目を見張るような打球を放つことがあるが、まだその割合は高くない。多少打率は下がったとしても、もう少しホームランが増えた方が相手にとっても怖い打者になるはずだ。背番号55の大先輩である松井秀喜はプロ入り4年目に大幅にホームラン数を増やしてセ・リーグを代表する強打者となった。秋広も同じような成長曲線を描いてくれることを期待したい。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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