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プロ野球

【2023ドラフト候補ランキング解説】最大の目玉は花巻東・佐々木で変わらず。社会人ではENEOS・渡会が飛び抜けた印象<SLUGGER>

西尾典文

2023.07.11

 一方の木村は下級生の頃からセンスの良さが目立っていたが、この春は大きく出力がアップした印象を受ける。スピードが上がってもコントロール、変化球の良さは変わらず、総合力も高い。高校生の右投手では坂井陽翔(滝川二)と並ぶ存在と言える。

 高校生の野手で評価を上げてきているのがショートの横山聖哉(上田西)だ。投手としても140キロ台後半のスピードを誇る強肩で、フットワークとスローイングの力強さは高校生離れしたものがある。打撃も力強さが増しており、悪い癖のないスウィングも魅力だ。貴重な大型で三拍子揃った高校生ショートだけに高く評価している球団も多いだろう。

 高校生で二刀流で注目を集めているのが武田陸玖(山形中央)だ。4月のU-18侍ジャパン候補合宿で一気にその名は全国区となり、本人がプロでも二刀流を目指すと表明したことで更に注目度は高まっている。同じ左投左打の二刀流である矢沢宏太(日本ハム)が1年目から存在感を示していることも武田にとって追い風となりそうだ。
 大学生投手で評価を上げたのが下村海翔(青山学院大)、武内夏暉(国学院大)、西舘昂汰(専修大)、岩井俊介(名城大)の4人だ。下村は完成度の高さ、武内は大型サウスポーでも制球力が高い点、西舘はスケールの大きさとスタミナ、岩井はボールの力をそれぞれアピールし、西舘以外の3人は大学日本代表にも選出されている。秋の出来次第では上位指名はもちろん、1位の12人の入ってくることも十分考えられるだろう。

 社会人は昨年の時点で上位候補と見られていた松本健吾(トヨタ自動車)が肩の不調もあって調子が上がらず、度会だけが飛び抜けている印象が否めない。大学生に有力候補が多いのも社会人選手にとっては逆風となりそうだが、プロでは福永裕基(中日)がいきなりレギュラーとして活躍しているだけに、指名解禁を過ぎた選手も都市対抗本選などでアピールしてくれることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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