つまり、前半戦の千賀はヒットを許す確率はリーグで一番低く、空振り率が極めて高い球種も持っているが、一方で四球も最も多いという実に極端な数字が出ている。ボールゾーンに落ちていくフォークは多くの空振りを誘発する一方で、打者が我慢して見送ればその大半はボールになる。その意味では“諸刃の剣”でもある。ただ、四球が多ければ必然的に球数は増える。クオリティ・スタートが16先発中6度のみと少ないのもそのあたりに起因しているに違いない。
このように修正点があることは、後半戦に向けて伸びしろが残っていると捉えることもできる。日本とは違うマウンド、ボールへの適応に苦労した面もあったはずで、直近の4戦に限定すれば25イニングで7四球のみと向上の跡が見える。
「彼には適応を進めなければならない要素があり、私たちはそれを可能な限り容易にしようと努めてきた。より快適に感じられるようになっている」。バック・ショーウォルター監督の言葉通り、メジャーの水に慣れるにつれ、制球も徐々に向上すればさらに心強い。
首脳陣側のヘルプの一環として、登板間隔がこれからどう考慮されていくかも興味深い。前半戦での千賀は極めて慎重に起用され、中4日での登板は2度だけ、結果も合計7.2回で自責点5と芳しくない。5日のダイヤモンドバックス戦も、マックス・シャーザーと順番が入れ替わって中6日でマウンドに立ったものだった。 「休みが多い際の千賀は違う投手のように見える。今回は登板間隔が2日長かった(中6日)。速球にはよりキレがあり、おかげでゴーストフォークはより大きな武器になっていた。可能な限り日本と同じ先発ローテーションに近づけることは試みる価値があるのだろう」。地元放送局SNYのジョン・ハーパー記者のそんな指摘は的を得ているのかもしれない。
もちろん、千賀は中4日への定着を目指して渡米したはずだが、メジャー1年目はこのまま慎重に起用し続けるという考え方は理に叶っている。後半戦の巻き返しに向け、好投の可能性がより高い登板間隔をチームが模索するのも当然。それによって、さらに成績が向上しても驚くべきではないのだろう。
代替選手として、オールスターにも選出。前半戦の好投が球界内でも広く評価されていることが改めて証明された。夢の舞台を経験した千賀が後半戦どんな投球を見せてくれるか期待したい。
文●杉浦大介
【著者プロフィール】
すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。
このように修正点があることは、後半戦に向けて伸びしろが残っていると捉えることもできる。日本とは違うマウンド、ボールへの適応に苦労した面もあったはずで、直近の4戦に限定すれば25イニングで7四球のみと向上の跡が見える。
「彼には適応を進めなければならない要素があり、私たちはそれを可能な限り容易にしようと努めてきた。より快適に感じられるようになっている」。バック・ショーウォルター監督の言葉通り、メジャーの水に慣れるにつれ、制球も徐々に向上すればさらに心強い。
首脳陣側のヘルプの一環として、登板間隔がこれからどう考慮されていくかも興味深い。前半戦での千賀は極めて慎重に起用され、中4日での登板は2度だけ、結果も合計7.2回で自責点5と芳しくない。5日のダイヤモンドバックス戦も、マックス・シャーザーと順番が入れ替わって中6日でマウンドに立ったものだった。 「休みが多い際の千賀は違う投手のように見える。今回は登板間隔が2日長かった(中6日)。速球にはよりキレがあり、おかげでゴーストフォークはより大きな武器になっていた。可能な限り日本と同じ先発ローテーションに近づけることは試みる価値があるのだろう」。地元放送局SNYのジョン・ハーパー記者のそんな指摘は的を得ているのかもしれない。
もちろん、千賀は中4日への定着を目指して渡米したはずだが、メジャー1年目はこのまま慎重に起用し続けるという考え方は理に叶っている。後半戦の巻き返しに向け、好投の可能性がより高い登板間隔をチームが模索するのも当然。それによって、さらに成績が向上しても驚くべきではないのだろう。
代替選手として、オールスターにも選出。前半戦の好投が球界内でも広く評価されていることが改めて証明された。夢の舞台を経験した千賀が後半戦どんな投球を見せてくれるか期待したい。
文●杉浦大介
【著者プロフィール】
すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。
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