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MLB

息子は大谷のメジャー初完封、父は野茂のノーヒッターをサポート。不思議に日本と縁が深いウォラック親子<SLUGGER>

出野哲也

2023.07.30

 ただし、半年いただけでドジャースへ復帰。後釜としてエンジェルスの三塁を守ったのは、新人のジョージ・アリアス(のちオリックス、阪神、巨人)だった。引退後はエンジェルスのマイナー球団監督を皮切りに、多くのチームでコーチなどを歴任。16年にはマーリンズのベンチコーチとして、イチローのメジャー通算3000安打達成を見届けた。

 ティムの3人の息子はみなプロ野球選手になった。捕手の長男マットは07年のドラフト22巡目、投手の次男ブレットは09年3巡目で、いずれもドジャースに指名され入団。三男のチャドも最初に指名されたのは10年43巡目のドジャースだった。入団はせず、父と兄の母校カリフォルニア州立大フラートン校へ進学。13年の5巡目でマーリンズに指名されプロ生活のスタートを切った。
 マイナーどまりだった兄2人に対し、チャドは17年にレッズでメジャー昇格。翌18年に父のいるマーリンズに戻り(移籍が決まったのはイチローの退団と同日だった)、2年間同じベンチに居た。父は「私にとってキャリアで最高の時期は、息子と一緒に過ごした2年間だった」と言っている。

 3度のウェーバー移籍を経験した末エンジェルスに落ち着いたチャドは、過去4本だったホームランが今季は6本。うち1本は5月31日、大差のついた展開で大谷の代打に出て放った。6月初めからは37打席無安打と苦しんだが、27日には久々にヒットも出た。マーリンズ時代から投手陣からの信頼度は高く、今も大谷に「フレーミングもしっかりしていて素晴らしい」と褒められている“チャディ”。大谷がノーヒットゲームを達成するときには、きっと彼がマスクをかぶっているだろう。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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