記者席も当然、ザワついた。
どちらかと言うと、失笑に近いものだったかもしれない。カブスの番記者のエリアだったせいもあるが、無様なハップの空振りが意図的であるはずがなく、「そこまでする?」という感じである。状況を考えれば、「ウチのキャッチャーに何してくれてんねん」という警告を発したのだろうな、という推測が簡単に成り立つからだ。
それはカブス番記者だけではなく、カーディナルス番記者にとっても同じだったようで、少し時間を置いてからこちらにやって来た記者の一人が、「あの時点で、審判は警告すべきだったよね」と漏らし、カブスの番記者の同意を得ている。
奇妙な「間」だった。
何かが起こりそうなのを誰もが分かっていて、でもまだ何も起こっていない。そんな感じだった。「まさかねーっ」という気持ちのまま、マイコラスの次の投球を待った。
そして案の定、マイコラスの5球目はハップの「一番、痛くないところ」である臀部(尻)に当たり、死球となった。面白かったのは、カブス番記者もカーディナルス番記者も、それがマイコラスの、「ウチのキャッチャーに何してくれてんねん」という警告だと認識していたので、「そこまでする?」と思いつつも「しょうがないよね」と納得していたことだ。
メジャーリーグの“Unwritten Rule=書かれざるルール”については、MLB専門誌SLUGGERの読者の方々ならよくご存知だろうが、「相手投手のメッセージ=故意死球」もその一つだ。「空振りのバットが味方捕手を傷つけたことに対する警告」というのは珍しいが、「主力打者に死球をぶつけられたことに対する相手の主力打者への死球」や、「ホームランを打った後、相手を挑発するようなジェスチャーをした打者への死球」など、米球界ではよくあることだ。
そして、その理由が何であれ、警告が死球という報復行為になった時、審判(団)にはその報復の報復、つまり連鎖を断ち切る義務が生じる。
それは、もしもマイコラスがそのまま投げ続ければ、カブスはかなり高い確率でポール・ゴールドシュミット一塁手やノーラン・アレナード三塁手に警告、もしくは報復していただろうし、そうなると乱闘騒ぎになって収拾がつかなくなってしまうからだ。
だから、試合後に会見に応じた当事者=選手たちの反応も、ちょっとフワッとした感じで、取材者に対する「分かってるでしょ?」的な感じが出てしまう。
「僕たちは(カブスで)6年間一緒にプレーした友人だから、彼が倒れて頭から血を流しているのを見て怖かった」
そう言ったのは、結果的にマイコラスの退場劇のきっかけを作ってしまったハップだ。
「試合後にテキストメールを送って大丈夫だと分かったが、怖い瞬間だった。それでも彼が試合に残ろうとしたことに驚きはなかった。ここ(カブス)で長い間、そういう姿勢を見てきた。彼はそういう選手なんだ」
マイコラスに死球を当てられたことについては、「どんな方法でも、出塁する能力がチームにとっては大事だということだ」とだけ答え、それ以上、マイコラス関連の質問はさせなかった。それは、ハップのバットを食らったコントレラスも同じで、「もう終わったことだ」と何度となく、言い続けている。
どちらかと言うと、失笑に近いものだったかもしれない。カブスの番記者のエリアだったせいもあるが、無様なハップの空振りが意図的であるはずがなく、「そこまでする?」という感じである。状況を考えれば、「ウチのキャッチャーに何してくれてんねん」という警告を発したのだろうな、という推測が簡単に成り立つからだ。
それはカブス番記者だけではなく、カーディナルス番記者にとっても同じだったようで、少し時間を置いてからこちらにやって来た記者の一人が、「あの時点で、審判は警告すべきだったよね」と漏らし、カブスの番記者の同意を得ている。
奇妙な「間」だった。
何かが起こりそうなのを誰もが分かっていて、でもまだ何も起こっていない。そんな感じだった。「まさかねーっ」という気持ちのまま、マイコラスの次の投球を待った。
そして案の定、マイコラスの5球目はハップの「一番、痛くないところ」である臀部(尻)に当たり、死球となった。面白かったのは、カブス番記者もカーディナルス番記者も、それがマイコラスの、「ウチのキャッチャーに何してくれてんねん」という警告だと認識していたので、「そこまでする?」と思いつつも「しょうがないよね」と納得していたことだ。
メジャーリーグの“Unwritten Rule=書かれざるルール”については、MLB専門誌SLUGGERの読者の方々ならよくご存知だろうが、「相手投手のメッセージ=故意死球」もその一つだ。「空振りのバットが味方捕手を傷つけたことに対する警告」というのは珍しいが、「主力打者に死球をぶつけられたことに対する相手の主力打者への死球」や、「ホームランを打った後、相手を挑発するようなジェスチャーをした打者への死球」など、米球界ではよくあることだ。
そして、その理由が何であれ、警告が死球という報復行為になった時、審判(団)にはその報復の報復、つまり連鎖を断ち切る義務が生じる。
それは、もしもマイコラスがそのまま投げ続ければ、カブスはかなり高い確率でポール・ゴールドシュミット一塁手やノーラン・アレナード三塁手に警告、もしくは報復していただろうし、そうなると乱闘騒ぎになって収拾がつかなくなってしまうからだ。
だから、試合後に会見に応じた当事者=選手たちの反応も、ちょっとフワッとした感じで、取材者に対する「分かってるでしょ?」的な感じが出てしまう。
「僕たちは(カブスで)6年間一緒にプレーした友人だから、彼が倒れて頭から血を流しているのを見て怖かった」
そう言ったのは、結果的にマイコラスの退場劇のきっかけを作ってしまったハップだ。
「試合後にテキストメールを送って大丈夫だと分かったが、怖い瞬間だった。それでも彼が試合に残ろうとしたことに驚きはなかった。ここ(カブス)で長い間、そういう姿勢を見てきた。彼はそういう選手なんだ」
マイコラスに死球を当てられたことについては、「どんな方法でも、出塁する能力がチームにとっては大事だということだ」とだけ答え、それ以上、マイコラス関連の質問はさせなかった。それは、ハップのバットを食らったコントレラスも同じで、「もう終わったことだ」と何度となく、言い続けている。
関連記事
- 大谷をトレードで放出しないなら、今からでもがむしゃらに補強を目指すべき――エンジェルスに迫られる“最終決断”<SLUGGER>
- 息子は大谷のメジャー初完封、父は野茂のノーヒッターをサポート。不思議に日本と縁が深いウォラック親子<SLUGGER>
- 「え? 100ドル賭けても1ドル?」大谷翔平の衝撃的な活躍が“MVPオッズ”を破壊したと米メディア驚愕!「異次元でしかない」
- 大谷翔平の去就を巡ってA・ロッドがまさかの失言!「トレードしてドラフト指名権を取る」に「それはルール違反」「本気で言っているのか?」とファン総ツッコミ!
- 「恋に落ちた顔だ!」エ軍新加入のジオリト、大谷翔平を眺めて喜色満面の一枚が話題!「これはかわいい表情」