井端監督は継投策の意図について、こう話す。
「(赤星は)国際試合初登板っていうところで、最初から飛ばしていたっていうのは見えたんですよね。久々の試合でしたし。だから、思い切って代える準備をしていました。その次の及川が期待に応えるピッチングをしてくれました」
その及川もイニング跨ぎをさせるのではなく、6回から根本を投入したのは見事だった。そして、先述したように根本は2イニングをピシャリと抑えたのである。
5回のピンチを継投で乗り切って嫌な流れを断ち切り、6回にチーム初安打。流れを持ってくる采配だった。7回に先制弾が生まれたのは必然だったのかもしれない。
チームのピンチを救ったのは日本シリーズでの活躍が目覚ましかった森下翔太(阪神)だった。森下は2番の小園海斗(広島)が無死から左安打で出塁するも牽制に釣り出されて憤死。その嫌な流れを振り切る左本塁打をスタンドにぶち込んだのだ。
森下についても、井端監督は饒舌にこう話したものだ。
「阪神でも3番を打っていて、ココというときに打点を挙げていた。(2軍の)フレッシュオールスターですけど、いきなりホームラン打ったり、短期決戦に近いようなところでも活躍してくれるんじゃないかなと。日本シリーズ、クライマックス・シリーズでの活躍もありましたし、迷わず3番というイメージでした」
これほどまで選手の特徴をしっかり説明できる指揮官も多くない。
それほど、今季は解説者として日本のプロ野球を見つめながら、その願力を鍛えてきたに違いない。選手の特徴を生かして、自身の野球論に合致させて勝利に導いた見事な初陣だった。
取材の最後に、もうひとつ指揮官の理念を知る上で、ひとつのことを聞いてみた。
それは、2番起用についてだ。昨今の野球は2番打者に誰を置くかで指揮官のカラーというものが色濃く出るからだ。この日は小園海斗だったが、その理由も含めて聞いてみた。
「小園選手はたぶん、何番でも打てるバッターだと思います。宮崎合宿でも3、5番を試しても、どの打順にしても自分のスタイルを変えないで打つことができる。ランナーを置いたときというのが彼の生きる場所だと、今日は2番で使ってみたんですけど、3番の森下選手の状態が良かったので、その前に何とかランナーを出したいというのもありました。小園選手のようなタイプはありがたい。困ったところに置いとけばいい選手なので」
「今日、門脇選手も3安打しましたんで、2番の候補になりますけど、そんなふうにいろんなところに置ける選手がいるとバリエーションが増えます。2番打者に対する考え方は、そんな簡単にバントするという選択はないです。打ってクリーンアップで2、3点取れる攻撃を序盤のうちにしたいなと思っています。ただ、今日みたいな終盤勝負では、バントも可能な選手。小園選手もそうですけど、そういった選手が理想の2番かなと思います」
指揮官の理論を聞いているだけで楽しい。選手の表がすらすら出てきて、自分の考えも整理して語るのである。そんなことを思えたのは初めてだ。
ともかく、侍ジャパンの再出発は井端色が濃く出た会心の勝利だった。
文●氏原英明
【著者プロフィール】うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。
【動画】門脇誠が猛打賞&タイムリー!侍Jがダメ押しの4点目!
「(赤星は)国際試合初登板っていうところで、最初から飛ばしていたっていうのは見えたんですよね。久々の試合でしたし。だから、思い切って代える準備をしていました。その次の及川が期待に応えるピッチングをしてくれました」
その及川もイニング跨ぎをさせるのではなく、6回から根本を投入したのは見事だった。そして、先述したように根本は2イニングをピシャリと抑えたのである。
5回のピンチを継投で乗り切って嫌な流れを断ち切り、6回にチーム初安打。流れを持ってくる采配だった。7回に先制弾が生まれたのは必然だったのかもしれない。
チームのピンチを救ったのは日本シリーズでの活躍が目覚ましかった森下翔太(阪神)だった。森下は2番の小園海斗(広島)が無死から左安打で出塁するも牽制に釣り出されて憤死。その嫌な流れを振り切る左本塁打をスタンドにぶち込んだのだ。
森下についても、井端監督は饒舌にこう話したものだ。
「阪神でも3番を打っていて、ココというときに打点を挙げていた。(2軍の)フレッシュオールスターですけど、いきなりホームラン打ったり、短期決戦に近いようなところでも活躍してくれるんじゃないかなと。日本シリーズ、クライマックス・シリーズでの活躍もありましたし、迷わず3番というイメージでした」
これほどまで選手の特徴をしっかり説明できる指揮官も多くない。
それほど、今季は解説者として日本のプロ野球を見つめながら、その願力を鍛えてきたに違いない。選手の特徴を生かして、自身の野球論に合致させて勝利に導いた見事な初陣だった。
取材の最後に、もうひとつ指揮官の理念を知る上で、ひとつのことを聞いてみた。
それは、2番起用についてだ。昨今の野球は2番打者に誰を置くかで指揮官のカラーというものが色濃く出るからだ。この日は小園海斗だったが、その理由も含めて聞いてみた。
「小園選手はたぶん、何番でも打てるバッターだと思います。宮崎合宿でも3、5番を試しても、どの打順にしても自分のスタイルを変えないで打つことができる。ランナーを置いたときというのが彼の生きる場所だと、今日は2番で使ってみたんですけど、3番の森下選手の状態が良かったので、その前に何とかランナーを出したいというのもありました。小園選手のようなタイプはありがたい。困ったところに置いとけばいい選手なので」
「今日、門脇選手も3安打しましたんで、2番の候補になりますけど、そんなふうにいろんなところに置ける選手がいるとバリエーションが増えます。2番打者に対する考え方は、そんな簡単にバントするという選択はないです。打ってクリーンアップで2、3点取れる攻撃を序盤のうちにしたいなと思っています。ただ、今日みたいな終盤勝負では、バントも可能な選手。小園選手もそうですけど、そういった選手が理想の2番かなと思います」
指揮官の理論を聞いているだけで楽しい。選手の表がすらすら出てきて、自分の考えも整理して語るのである。そんなことを思えたのは初めてだ。
ともかく、侍ジャパンの再出発は井端色が濃く出た会心の勝利だった。
文●氏原英明
【著者プロフィール】うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。
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