出世頭はこの世代で唯一WBC代表入りした戸郷翔征（巨人）である。戸郷は高校2年時に甲子園出場はあるものの、3年時には甲子園に届かず、代表チームにも入れなかった。それほど目玉選手ではなかったのだから、人生とは難しく面白いものだ。

　とにかくこの世代は多くの選手がプロの舞台にいる。

「うーん、普段のシーズンから同世代を意識するってことはないですけど、、、対戦することがあったりした時には意識はしますね。このピッチャーは同級生だ。打ちたいなという気持ちはあります。WBCに出場した戸郷に関しては本当に素直に凄いなと思いますし、先を走っているなと。 僕らの世代の一番先を走っていると思うので、 追いつきを追い越せで頑張りたいなと思います」

　とはいえ、この日の本塁打の引き金になった森下の存在は万波に大きい。なにせ、横浜高出身の万波と東海大相模高出身の森下である。長い歴史があり、意識しないはずはない。

「森下選手はやっぱり10代から一緒に競ってきた仲だと僕は思っているんですよね。 特に東海大相模って僕らの学校からしたらすごいライバル校だったので、 その高校で1年の春から４番打っていて、ほんとすごい奴がいるなと思ってずっとやってきた。これからもそういう関係で頑張りたいなと思います」

　もちろん、今回のチームはオーバーエイジ枠があるとはいえ、年齢制限があるからこそ同年代の選手がこぞって活躍するのは起こりうることだ。とはいえ、こうやって彼らが華を見せてくれているのは黄金世代にとっては明るい兆しに思えてならない。
  「しっかり結果を出すことによって、代表チームに入るものだと思うので、しっかり、リーグでも結果を残して、またここに呼んでもらえるようになりたいですね」。

　３～5年後の代表入りを目指すかと聞かれた、この日3安打の小園はそう言って、代表チームへの思いを語った。下のカテゴリーで何度も代表入りしてきた選手だ。目指さないはずはないだろう。源田以降、なかなか突出したショートが生まれてきていない日本野球界のなかで、小園が1番手の存在になりうる活躍を見せているのも頼もしい限りである。

　U-24で構成された代表チーム。明るさや仲の良さはやはりフル代表とはまた違う。しかし、同世代だからこそ、この代表で凌ぎを削って新たな時代を作ってほしいものだ。

取材・文●氏原英明

【著者プロフィール】うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。

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