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MLB

“人種の壁”打破に西海岸移転、野球の国際化推進...球界に数々の革命をもたらしたドジャースこそ大谷翔平にふさわしい<SLUGGER>

出野哲也

2023.12.18

 こうした土壌があるゆえ、外国出身者が活躍するケースも多い。最も有名なのはメキシコ生まれの左腕投手フェルナンド・バレンズエラ。81年に新人ながら開幕投手に選ばれただけでなく8連勝、うち5試合が完封勝利で大旋風を巻き起こし、そのインパクトの大きさは、日本でも「怪童現わる」と一般紙が大きく報道したほどだった。LAに多く住んでいたラテン系住民の間でヒーロー的存在となり、彼らを中心としたファンの熱狂ぶりは“フェルナンドマニア”と形容された。バレンズエラは同年の新人王とサイ・ヤング賞をダブル受賞、チームも16年ぶりの世界一となった。

 14年後の95年、バレンズエラの再来ともいうべき“ノモマニア”を生み出したのが、言うまでもなく野茂英雄である。独特のトルネード投法で1年目から13勝、リーグ最多の236三振を奪い、オールスターゲームでも先発マウンドを務めた。翌96年には、圧倒的に打者に有利なデンバーのクアーズ・フィールドでノーヒットノーランの快挙を達成している。
 日本人メジャーリーガー第1号でこそないものの、野茂の活躍によりMLBは日本人にとって一挙に身近なものとなり、実質的なパイオニアであった。また94年には、初の韓国人メジャーリーガーとしてパク チャンホがデビュー。97年の先発ローテーションは、野茂とパク、ラモン・マルティネス(ドミニカ共和国)、イスマエル・バルデス(メキシコ)、トム・キャンディオッティ(アメリカ)と全員違う国籍の投手で組まれ、国際派チームの看板にふさわしいものだった。

 野茂以降も石井一久、斎藤隆、黒田博樹、前田健太、ダルビッシュ有ら多くの日本人選手がドジャースには所属したが、打者として好成績を残した者はいない。数々のイノベーションを生み出したチームで、さまざまな常識を覆してきた大谷はさらなる飛躍を遂げるに違いない。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。

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