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高校野球

注目スラッガーとの対決は本塁打を許すも3奪三振! 阿南光・吉岡暖の進化を促した今春解禁の“二段モーション”

氏原英明

2024.03.19

 確かに吉岡のモーションはほんの少しだけ止まる。オリックスの山岡泰輔を思わせるような足の上げ方で軸足に体を溜めてから始動してくるのだ。地面から溜めたパワーはどこもロスすることがないので、吉岡のピッチングをさらに高めているのだろうと思う。
 
「三振はあまり意識はせず、試合を作ることだけを考えていました。先制してもらったので、すごく入りやすかったです。ニキータ選手は対応力のある選手なので、いろんな球を使って抑えようと思いました。ホームランを打たれたのはフォークの失投です。9回にツーアウトでもう一度打席が回ってきたときは運命を感じました。これは三振を取るしかないと思って投げました。ホームランを打たれたのと同じ球種で狙いました」

 大会前の評判ではニキータの方に分があった。本人も「貫禄があります。いいバッターでした」と振り返っている。好打者を抑えての勝利で本人も多くの自信を掴んだことだろう。

「他の選手が、2か月くらいで習得するところを彼は2週間で会得する選手なんで器用だと思います。自分が何をすべきかをわかっている選手ですね」

 阿南光の指揮官・高橋徳監督はそう太鼓判を押す。

 まだまだ伸びしろのある右腕、大会注目の打者を封じ、これからどこまで成長していくか楽しみな選手である。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

【動画】阿南光の右腕・吉岡が、注目スラッガーのモイセエフから三振を奪う!
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