専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

水原通訳の違法賭博問題で浮上した「プロアスリートの危機管理問題」。選手の行動を監視・監督する第三者機関が必要<SLUGGER>

古本尚樹

2024.03.25

 具体的には、球団とは別に規範を監視する第三者が必要だろう。今回のド大谷選手のような私的なつながりからの通訳ではなく、しがらみのない立場から生活面での相談や規律を監視する第三者機関だ。そのためには、選手の一定の行動制限はやむを得ないと思う。それは企業の従業員が社則を守るのと一緒である。社会人として問題行動をしないのは、当然だが、それが問題かどうかは選手自身が判断できずにいる場合も少なくない。今回の場合もそうではないか。問題になる前に相談できる「窓口」を別に用意しておくべきだろう。

 本来はこうした問題が発生した場合のチームと選手個人それぞれの対応フォローチャートが必要だが、確立されていない。今回も元通訳の話が先行し、その話が二転し、現時点ではその元通訳の話か聞こえてこない。しかもその中身がが断続的に出てくる始末で、結果として多くの疑念を生み出し、多くの憶測が先行している。巨額の金銭がどのように不法賭博に利用されているのか、現時点ははっきりしない。

 例えば、自治体や企業では災害が発生した時の対応について定期的に訓練を行う。図上訓練等や研修、ワークショップなどを通じて、身近なリスクの洗い出しと対策のためのネットワークなどを確立する。

 これと同様に、今回のような規律や倫理に関わる面で問題への対応の流れをフォーマットとして確立すべきだろう。情報公開面について、今回のケースでは解雇された元通訳の話が中心で、信ぴょう性が定まらない。当事者である大谷選手とドジャースが情報公開として、期日を提示したうえで、一連の流れを説明する機会をまず設ける必要があった。本来は元通訳が先にいろいろなことを一方的に話すべきではなかった。被害を受けたのは大谷選手であるなら、被害者が先行して捜査当局への手続きやプレスへの発表などをすべきだったのに、後手に回っている。
 また、大谷選手側と元通訳側のつじつまの合わない内容が多い。元通訳に「ぶらさがる」取材から派生した多種多様な内容が増殖し、論点がぼやける要因だ。事実関係がはっきりしないうちに、その事件の関係者に、自由に発言させるのではなく、公的な場、クレジットの付いた機会での発言、丁寧な説明が必要だろう。

 特に疑念を生んでいる、元通訳の話が二転した経緯は皆が知りたいところだろう。なんらかの圧力が元通訳にかかったのではないか、という疑念は少なからず皆が有している。大谷選手の口座を元通訳が勝手に操作できる状態だったのか、あるいは大谷選手自身が入金を把握しているのか、などすでに疑念の核とすべき論点は上がっているので、そこに対してわかりやすい説明と納得のいく説明が必要だ。

 次回は、プロ野球選手と今回のようなチーム内に入るような、スタッフ(ステークホルダー)等との関係におけるリスクについて解説する。

文●古本尚樹

著者プロフィール
ふるもと・なおき。株式会社日本防災研究センター(2023~)。医学博士。阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターリサーチフェロー。東京大学大学院医学系研究科外科学専攻救急医学分野医学博士課程中退。専門分野:スポーツ選手やチームの危機管理・コンプライアンス・ガバナンス、防災。

【関連記事】「元通訳のスキャンダルから何を話す?」水原一平氏を巡る“違法賭博問題”で、初めて記者会見を開く大谷翔平に欧州メディアが異例の関心!「栄光のキャリアに影響」

【関連記事】「正直、罰金以外は何も起こらない」大谷翔平と水原一平氏を巡る“違法賭博疑惑”に米敏腕記者が注目発言!「ただイメージは打撃を受けている」
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号