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プロ野球

“最速161キロの清宮”がデビュー!3試合の一軍登板で得た手応えとは?<SLUGGER>

氏原英明

2024.04.24

「食事面とかもそうですし、肩・肘のコンディショニングを作るメニューなどは、自分の中では決めています。ただ一概に、それをすることだけが自分を良くするわけではないので、いろいろ取捨選択して、その時に合わせたことをいろいろやっています」。

 支配下登録を経てのデビュー戦は、「ふわふわしていて何が起きているか分からない状態」と笑った。3登板で計4失点を喫し、決して良い出来には見えなかったが、清宮の中では見えてきたことも多いという。

「2登板目と3登板目は良い緊張感を持って投げることができました。失点しましたけど、自分の中ではそんなに悲観的になるような内容ではなかった。一気にドーンとするような結果は残せなかったですけど、着実に成長する姿を見せて、接戦の試合で投げられるようになりたいですね。今はファームで経験できないことが新しく見えてきて、まだまだ課題がたくさんあるなって思い知らされている段階です。それを一つずつクリアしていく。才能があるわけじゃないので、毎日、うまくなっていこうと思っています」

 課題は安定感だ。最速161キロ、150キロもコンスタントに投げられるが、自身でも調子の波を感じている。「ストライクゾーンに強い真っ直ぐを投げる。そこから次の段階が見えてくるのかな」と目の前にある課題と向き合う。強くないまっすぐでは意味がなく、かといってコントロールが悪くともいけない。まずは腕を振ってストライクを投げ込む。
 
 清宮が将来目指すところはリリーバーの頂点、クローザーだ。今は勝敗とはおおよそ関係のないところでの登板という位置付けだが、本人も期するところはある。

「もちろん、やるからにはそこは目指していきたい。ただ、今はまだまだです。ダークホース的な存在ですけど、自分のチームの中継ぎ陣をドキドキさせるような存在になりたいですね」。

『Clubhouse』で出会った時は、まだ名もなき育成選手だった。

 清宮(セイミヤ)虎多朗が、いつの日か、うねり上がるストレートを武器に、パ・リーグの名クローザーの地位を確立している日を楽しみにしたい。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

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