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ロン毛バッサリ、覚悟を感じる発言の数々… 防御率1.47、西武・今井達也に漂う“エースの矜持”

氏原英明

2024.05.17

 4月19日の楽天戦ではこんなことがあった。チームは7連敗中のどん底にあって苦しい中での先発となったが、3回表、2死を簡単に取ったあと、1番の小郷裕哉にライトに弾き返されたが、これを右翼手の山村崇嘉がダイビングキャッチを試みて失敗。三塁打としてしまったのだ。判断が難しい打球だったとはいえ、シングルヒットで収めたい打球だった。しかし、今井は続く村林一輝を三振に仕留めてピンチを脱した。ピッチングは圧巻だったが、それ以上にこのシーンを振り返った言葉がまた勇ましかった。
 
「あそこは僕がカバーする場面だと思っていた。しっかり三振を取り切れたのはよかったです。ギアを上げましたけど、まだ余力があるよっていうのを相手に見せるだけでも違うと思いますし、力を入れた中でもバランスよく投げるっていうことができたと思う」

 味方のミスは記録上では失策ではないとはいえ、チームメイトが悔しがっているプレーを取り返すピッチングは、チームの命運を背負うだけの覚悟を垣間見たシーンだった。

 この日は7回を投げ、5安打9奪三振をマークし、チームの連敗を阻止した。

「(連敗を)止める気でいた。昨日の練習の時点というか、連敗した時からずっと頭にはあったんで、とにかく今日は自分の勝ち星というよりかは、チームが勝てることだけ考えていました」

 覚悟を感じる今井の言葉を聞いていると、メンタル面の充実を感じずにはいられない。それだけ強いメンタルでいられるのは元来、彼が持つ強さかもしれない。高校2年夏は甲子園のベンチ外から翌年はエースとして甲子園優勝まで駆け上がった男だ。精神性の強さはあると思うが、取材をしていると、ふと彼の自信を支えているものの存在に気づいた。

 3試合ぶりの勝利を挙げた5月12日の楽天戦後のことだ。昨年よりメカニックの進歩を感じるかと問われるとこう答えた。

「自主トレから取り組んできて、それが去年から教えてもらっていることが自分の体に合わせられるようになった。試合の中でも、もっとこうした方がいいんじゃないかと修正できている」
 
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