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プロ野球

若林放出が西武に与えた衝撃。主力を目指す選手たちの危機感が低迷脱出のカギに?<SLUGGER>

氏原英明

2024.06.28

 GMと監督を兼務する渡辺久信はこうした質問に対し、どんな選択肢も否定しない。その選択肢とはトレードから新たな外国人補強、育成からの支配下登録までだ。さすがにシーズン途中の新外国人獲得はアジャストに難しさがありそうな気もするが、否定するわけでもないのだ。

 今回のトレードで西武が若い方の選手を差し出したことによって、チームに緊張が走ったことは間違いない。若林はルーキーイヤーの21年に左膝前十字靭帯損傷という重大な故障を負いながらも、過去3年間で計108試合に出場していた。そんな彼が放出されたのだから、他の選手が「自分も放出対象になるかもしれない」と危機感を抱くのは当然だろう。

渡辺GMは期限いっぱいまで検討することを口にした上で、今回のトレードによってこれまでの方針を転換したとは考えていないようだ。

「年齢を考えて(若林を)出したわけでもない」
 
 という返答はまさにそのことを如実に証明していると言えるだろう。とはいえ、今回のトレードに関して、驚きを隠さなかった選手の声を聞くと、選手の交換だけではない効果ももちろんあったと見る。
「驚きました。僕は髙松(渡)から連絡が来て知ったんですけど……危機感はみんなあると思います。でも、一軍にいる選手はみんな、負けへんぞという思いはあると思います」

 レギュラー争いから抜け出し、今は4番も務める岸潤一郎はそう語った。事実、松原の入団会見があった25日の日本ハム戦では、岸、鈴木将平がそれぞれ安打をマーク。代打で出場した西川愛也もヒットを放った。さらに、松原が1番・右翼で初出場した26日の同カードでは、代走で途中出場した長谷川信哉が四球と安打で2出塁。存在感をアピールしていた。

 試合に出るのは簡単なことではないーー。

 若林の放出によって、争ってきた選手たちは危機感に苛まれているのかもしれない。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

【動画】「負けへんぞ」岸、執念のダイビングキャッチ!
 
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