専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
高校野球

ドラフト候補二人を抱える明石商の現状は?『敵を知って己を知る』をモットーに日本一への土台作りに邁進中

大友良行

2020.01.12

狭間監督は、「この冬、残された時間でどこまで伸びるか」が鍵になると語った。写真:大友良行

狭間監督は、「この冬、残された時間でどこまで伸びるか」が鍵になると語った。写真:大友良行

 躍進著しい明石商を作り上げてきたのが、55歳の狭間善徳監督だ。

 地元の明石南から日本体育大に進学し、内野手として活躍した狭間監督は、明徳義塾中学・高校でコーチとして指導者のキャリアを踏み出し、1993年から同中学の軟式野球部監督に就任。6年間で5回の全国大会出場、4回の全国制覇に導いた。その後、2005年に明石市が町の活性化のために全国初の試みとして「野球指導者を公募」し、明石商の保健体育教諭として採用されると、2007年から監督として同校を率いている。少子化による市の「学区拡大」対策も伴って、今や部員は100人を越える大所帯だ。

 狭間監督は、指導についての考え方を次のように明かす。

「投攻守の基礎を一つひとつ広げていくこと。まず言葉で必要性を理解させます。次は身体で覚える。それを実戦で応用できるようになると戦えるチームができあがります。選手の意識も変わり、レギュラーとベンチ外が一つの束になりました。私は子どもたちが大好きです。強い情熱と根気を持って時間をかけてやっています」
 
 対戦相手のデータ調査も必須だという。「部員たちに手分けして次の相手の戦いぶりを観戦に行かせます。それを基に配球や守備位置などを決めます。『敵を知って己を知る』ということです」。

 甲子園対策は「先のことではなく、目の前の一戦一戦です」と簡潔だ。その先に『日本一』が見えてくるということだろう。

 また、同監督は「昨年のチームは、長打力もあったが、それ以上に2年生の時から試合に出ていた選手たちだったので、経験値も高く場馴れしていて、ゲーム中も落ち着いていた」と振り返ったうえで、今年のチームについても言及した。

「今年は、中森、来田、井上隼人、福井雄太の4人以外は新チームになってからの選手。夏の甲子園でベスト4、さらに国体もあったのでチーム作りが遅れた。どうしても経験不足は否めない。各自が力がないと自覚しているので、その分真摯に練習に取り組む意識と姿勢が見られる。自分の役割を果たそうとして最低限のことはしている。よくやっていますよ。この冬、残された時間でどこまで伸びるかですね」

 選抜まで約2か月。新生・明石商がこの短期間でどこまで伸びるのか注目だ。

文・写真●大友良行

【著者プロフィール】
おおとも・よしゆき/元大手新聞社の報道写真記者。事件事故取材の傍らメジャーリーグやサッカーW杯などの欧州サッカーを取材。現在は、全国の大学野球、春夏の甲子園をはじめとする高校野球、都市対抗を中心に社会人野球などを深く取材している。目標は、毎年ドラフト指名選手の85%以上を撮影収集すること。著書に「野球監督の仕事(共著・成美堂出版)」、「CMタイムの逆襲(東急エージェンシー)」などがある。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号