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侍ジャパン

なぜ予告先発投手を急きょ変更したのか。台湾監督が「日本を困らせた」と不可解な変更断行を謝罪も、露骨な決勝への“エース温存策”【プレミア12】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2024.11.24

井端監督(左)と台湾の曽豪駒監督(右)。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

井端監督(左)と台湾の曽豪駒監督(右)。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

 結果的に日本が勝利を収めたものの、実は試合前に見過ごない”事件”が起きていた。台湾が予告先発投手を急きょ変更したいと申し立てたのだ。

 当初は22日の米国戦後にエース左腕のリン・ユーミンが発表されていたが、この日デーゲームで行なわれたベネズエラ対アメリカ戦でベネズエラが5対6で敗北したため、日本と台湾の決勝進出が決定した。この結果を受け、台湾側は日本に当日の先発投手変更を提案してきた。

 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の大会規約では、先発投手の変更に際しては故障などの正当な理由を除き、同連盟が判断しない場合は罰金などのペナルティを受けると記されている。台湾側の突然の申し立てに日本側は困惑。主催者であるWBSCに「スポーツマンシップに反する行為だ」と猛抗議したが、同連盟は投手変更をなんと承認。台湾側は罰金を支払うとともに、左腕対策を練っていた日本チームの要請(同じ左腕投手を先発登板させる)をのみ、前日の米国戦で先発した左腕のチェン・ボーチンを”中0日”で登板させる苦肉の策を講じた。
 
 日台メディアも右往左往する極めて異例の事態となった前哨戦。試合後の記者会見で井端弘和監督は、不可解な予告先発投手の変更を質問されたときは「決めるのは大会側」と努めて冷静にコメントしたが、複雑な表情は隠せなかった。

 一方、台湾の曽豪駒監督は予告先発の急きょ変更を釈明。「日本側に大変申し訳ございません」と異例の謝罪を表明した。続けて、「日本側に状況を説明して(先発投手を)変えたんですが、相手を困らせることではありました」と反省の弁を繰り返した。その意図については、「いい状態で明日の決勝に向かわせるためにこういう選択をしました。いい投手を明日に向けて温存したかった」と話すにとどめた。

 プレミア12はオープニングラウンドから野球熱の高い日本と台湾がファイナルの舞台に進出した。決勝でエースを先発させるため露骨な温存策を断行した台湾の策は、はたして吉と出るのか。今大会3度目の顔合わせとなるカードは、どんな結末が待っているのだろうか。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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