開幕戦に話を戻すと、クレア氏は「日本の野球界にとっても、ベースボールにとっても今日は素晴らしい出来事が起きた」と答え、その理由を次のように力説する。

「大谷翔平、山本由伸、今永昇太、鈴木誠也の４人が揃った。１試合にこれほど多くの日本人選手が出場したのは歴史的な出来事だと思うよ。そして明日（19日）は佐々木朗希が先発するね。アメリカ人選手が日本にいるのが当たり前のように、今や日本人選手がメジャーリーグにいるのは当たり前なことになっている。日本は野球への情熱、献身、愛情を持っており、私にとってそれはとても刺激的なことだ。野球をより良くし、野球を観戦するのに日本は本当にエキサイティングで素敵な場所だと思うよ。東京ドームの中でこんなに長い時間を過ごすことができて、とてもハッピーだ」

　なかでも、大谷の人気はやはり凄まじかった。ドジャースの背番号17がグラウンドに姿を現せば、満員の観客は連日のようにスマートフォン、デジタルカメラで日本人スターの一挙手一投足を見逃さぬよう写真や動画を撮り続けた。実際にMLBでも大谷への歓声は群を抜くと強調するクレア氏は、「オオタニはベースボールを変えてくれた」と断言。日本が世界に誇る偉才が、野球を新たなステージへと導いてくれたからだ。
  「いま二刀流を目指す選手が複数人いる。アスレティックスと契約したばかりの東京の高校生である森井翔太郎は二刀流選手になろうとしている。５年前には、誰もそんなことはできなかった。みんなオオタニのようになりたいと練習するし、夢見ている。10年から15年後の野球は劇的に変わっているだろう。だから、今はみんな彼から学んでいるが、数年後にはオオタニが成し遂げたことの影響力が見られる世界になっていると思うよ」

「誰もオオタニのようなことはできないし、なれない。今日でさえ、彼はあらゆる面で試合に影響を与えているし、とても賢い野球選手だ。盗塁もするし、バントもできる。まるでテレビゲームのような選手が実際に目の前にいるんだから（笑い）。ショウヘイは素晴らしい野球選手であり、メジャーリーグだけでなく世界中でこのスポーツを変えてくれた。そんな選手を輩出してくれた日本には本当に感謝したい」

　野球を心から愛するクレア氏。デスクの横には大谷の顔をパッケージに描いた伊藤園の『「お～いお茶」大谷翔平ボトル』が３種コンプリートされていた。さらに自身のXで、「ああ、恋しかったよ」というメッセージを綴り、その美味を絶賛したコンビニの卵サラダサンドイッチが夜食用に置いてあった。

「全部揃えたよ。私の好きな味で順番に並べているんだ（笑い）正しい順番はあるのかな？ 緑茶は飲んだことがあって、ほうじ茶は初めて飲んだけど、これ（玄米茶）はうまかった！君のお気に入りはあるかい？」

　野球談議だけでなく日本の食文化も積極的に発信しているクレア氏。「また会えてとても嬉しかったよ！早く帰って寝てね。明日もお互い早いから」と笑いながら労ってくれた。最後まで気さくで優しい人柄が溢れていた。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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