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MLB

“究極の選択”――大谷とジャッジはどちらが優れているのか? MLBの球団幹部、スカウトが下した答えとは...【前編】<SLUGGER>

マーク・ファインサンド

2025.06.03

 あるア・リーグ球団のベテランスカウトも、現時点ではジャッジが球界最高のプレーヤーだとしつつ、大谷が再び投手として復帰した場合は再検討する必要があると答えた。

「今のジャッジはまるで別次元にいるような好調ぶりだ。ノリにノッている」とそのスカウトは言う。「ショーヘイも大好きな選手だが、ジャッジは打撃でも守備でも貢献している。まるでマシーンのようだ」

●総合指標WARは2年続けてジャッジが凌駕

 取材に応じたほとんどすべての球団幹部やスカウトはジャッジの守備に言及した。ヤンキースの主将も務めるジャッジはただ単にフィールドに就いているだけでなく、水準以上の守備力でチームに貢献している。

 スタットキャストの指標もそれを裏付けている。今シーズン、41試合に出場した時点でジャッジのOAAは球界全体で79パーセンタイル(=上位22%)、Arm Value(送球失点抑止価値)に至っては98パーセンタイルに位置する。

「彼は外野手としてもすごく優秀だ」とあるスカウトは指摘する。「あれだけ大柄(身長201cm・127kg)なのに俊敏に動けるし、捕れないだろうという打球も捕ってしまう。それに素晴らしい強肩もある」
 「彼の守備での貢献度は大谷の走塁貢献度を上回る」とあるア・リーグ球団の幹部は言う。「それに彼は球界でも数少ない真のチームリーダーだ」

 確かに、ジャッジの貢献度は大谷を凌駕している。大谷が史上初の50-50を達成した昨季でさえ、ジャッジのWARはFanGraphs版でもBaseball-Reference版でも大谷を上回った(前者が11.2/9.1、後者が10.8/9.2)。

 昨季、最終的には2度目のMVPに輝いたジャッジだが、序盤はスロースタートだった。4月のOPSは.754で、その時点での通算(.982)を大きく下回っていた。そのため、22年オフに9年3億6000万ドルという大型契約を与えたヤンキースの選択は失敗だったのではないかとの声も出た。その根拠の一つは、ジャッジがすでに30代に入り、多くの選手が衰えの兆候を見せる時期を迎えていたことだった。

 だが、ジャッジはそこから盛り返し、4月27日以降の131試合で打率.354、54本塁打、131打点、OPS1.265を記録した。そして今季は3・4月では自己最多の12本塁打を放ち、打率.427、34打点、OPS1.241とすさまじい数字を残した。OPS+は247で、これは彼がリーグ平均の打者より約2.5倍も生産性が高いことを示している。
【後編へ続く】

※OPS+=リーグ平均(100)と比べてどれだけ傑出していたかを示す。同じOPS.800でも、リーグの得点環境や本拠地球場の特性によって意味合いが変わってくるが、OPS+なら同じベースで判断できる。このため、異なる時代の選手の成績を比較する際にも用いられる。

『SLUGGER』2025年7月号の記事を転載

著者プロフィール
マーク・ファインサンド。MLB.comのエグゼクティブ・レポーター。MLBネットワークのインサイダーも務める。過去には『ニューヨーク・デイリーニューズ』紙でヤンキースのビートライターとして活躍した。X ID: @Feinsand

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