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プロ野球

『現役ドラフト』の“現在地”。選手会は導入を切望するも、コロナ対応に追われる球団側は…

中島大輔

2021.01.18

 周知のように新型コロナウイルスの感染者は日本中で増え続けており、その対応は球界にとっても最大の焦点だ。去年の反省を踏まえ、次善策をいかに整えておけるかが重要になると、森事務局が語る。

「濃厚接触者が出たらどう対応するかなど、選手たちに明確に伝わっていなかった部分も去年はありました。感染者が出たら選手の入れ替えをどうするかなど、コロナ特例もしっかり整理する必要があります」

 2020年の主なコロナ特例を振り返ると、以下が適用された。
・レギュラーシーズンは6球団24回戦総当たりの各球団120試合とする
・クライマックスシリーズは、パ・リーグは1位球団と2位球団の対戦、セ・リーグは開催しない
・延長回は10回までとし、10回を終わってなお同点の場合は引き分け試合とする。(イースタン、ウエスタンも同様)
・出場選手登録は1球団31名まで、ベンチ入りは26名まで(うち外国人選手は出場選手登録5名以内、ベンチ入り4名以内)。
・新型コロナウイルス感染拡大を防止し、シーズンを最後まで継続することを目的に「感染拡大防止特例2020」を新設。本人や家族の感染疑いや体調不良の症状が発生した場合、選手異動手続き(出場選手登録、登録抹消)に特例を適用することができる。
 
 今季は従来どおりでレギュラーシーズン143試合、CSは上位3球団による2ステージ制で実施される。ただし、新型コロナウイルスの影響で開幕がずれ込む事態になった場合、昨季のようにパ・リーグのみCSを実施してセ・リーグは行わないという、両リーグで異なるフォーマットを採用することは避けるべきだ。日本一を決めるまでのプロセスに、両リーグの整合性が取れていないのはおかしい。昨年の日本シリーズでソフトバンクが巨人を4連勝で下した際、その一因としてCSがなかったことも指摘された。その他の特例は、今季も引き継がれる見通しだ。 

 コロナ禍の対応は球団、選手にとって骨が折れるものだが、その中でいかにコミュニケーションをうまくとれるか。有事の中で互いが不信感を抱かないためには、意思の疎通を図るほかにない。

 逆にそうした関係性を築くことができれば、コロナが収束して以降、球団と選手が一体となり、より良い球界の発展につなげる土台にできるはずである。

取材・文●中島大輔

【著者プロフィール】 
なかじま・だいすけ/1979年生まれ。2005年から4年間、サッカーの中村俊輔を英国で密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた『野球消滅』。『中南米野球はなぜ強いか』で2017年度ミズノスポーツライター賞の優秀賞。近著に『プロ野球FA宣言の闇』など。

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