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プロ野球

【氏原英明の2024ドラフト採点】2度抽選を外してもソフトバンクは高評価。4球団競合の金丸を当てた中日よりも高得点がついた球団は…<SLUGGER>

氏原英明

2024.10.26

<ロッテ:75点>
 大学生No.1スラッガーとの呼び声高い西川史礁(外野手/青山学院大)を抽選で引き当てたのは大きい。昨年は度会隆起(DeNA)に1位入札して外すなど、外野手の課題解決に難があったからだ。若手の育成が順調に進んでいなかったが、西川の加入で大きく変わるかもしれない。

 その一方で、190cmの長身から最速153キロを投げ込む一條力真(3位/東洋大)、緩急に長けた坂井遼(4位/関東一高)、大学で11キロも球速がアップして最速153キロに到達した廣池康志郎(5位/東海大九州キャンパス)と立て続けに指名。やや地味ながら、厚みの欲しかった投手陣の強化もできたのではないだろうか。

<楽天:75点>
 やはり、5球団競合の末に宗山を獲得できたことがかなり大きい。楽天は野手陣は充実期を迎え、小郷裕哉、辰己涼介がチームの軸に。浅村栄斗、鈴木大地ら移籍組が脇を固める形ができつつある。そこに宗山が入ることでますます戦力に厚みを増すことだろう。

 さらに2位の徳山一翔(環太平洋大)をはじめ、即戦力の投手陣も2~4位まで続々と指名。交流戦を制覇しても監督が解任になる厳しい環境が、おそらく数年後よりも目先の強化に走らせたのだろう。まずは来季の優勝を目指すというチーム作りをしている印象で、その結果次第で評価も大きく変わりそうだ。
 
<西武:70点>
 宗山→石塚と2度の抽選を外した不運さが印象としてあるが、チームビルディングの観点での構成はそれほど悪いドラフトではなかった。高校屈指の遊撃手と名高い外れ外れ1位の斎藤大翔(金沢高)に加え、狩生聖真(3位/佐伯鶴城高)、篠原響(5位/福井工大福井高)と高校生投手を2人指名し、将来的に手薄になるであろう右腕を補填。大阪商業大の渡部聖弥と日本経済大の林冠臣で、外野の活性化を狙ったのも至極納得がいく。

 ただ、リーグ最下位で指名の優位性を活かせたとは言い難い。大物の宗山を狙うか、二遊間の二人を狙うかの選択で宗山に走ったと思うが、石塚と斎藤大翔の両獲りを目指すような、スケールの大きな指名がほしかった。

<オリックス:65点>
  右のスラッガータイプの外野手は補強ポイントだっただけに、1位で西川史礁(青山学院大)を狙いに行ったのは評価できる。とはいえ、抽選を外して次に指名した麦谷祐介(富士大)は左の好打者タイプで同学年の来田涼斗と重なるため、出場機会を食い合う可能性が大いにあるのがマイナス。

 麦谷と4位の山中稜真(捕手/三菱重工East)以外は全員投手。かなり好素材を集めた印象だが、すでに投手の枚数は充実しているだけに、ここまでの指名は多すぎる印象だった。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
 

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