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MLB

総額約1178億円!ソトの超破格契約で改めて痛感する「日米年俸格差」。MLBとの差は今後も広まっていく一方なのか<SLUGGER>

ナガオ勝司

2024.12.17

 その過程で彼の評価≒年俸も右肩上がりで上昇した。

2019(20歳) 57.8万ドル(約8900万円)
2020(21歳)  62.9万ドル(約9686万円)
2021(22歳) 850万ドル(約13億900万円)
2022(23歳) 1710万ドル(約26億3340万円)
2023(24歳) 2300万ドル(約35億4200万円)
2024(25歳) 3100万ドル(約47億7400万円)
(1ドル=154円換算)

 このように、20代前半にしてすでに何世代も家族を養えるほどの大金持ちになっていた。そしてこのオフ、26歳にしてFAとなり、15年総額7億6500万ドル=約1178億円、平均年俸78億5400万円を手にしたわけだ。

「やっぱりメジャーはすごいなぁ」と思いつつも、そこは日本人なので、やはりNPBの未来が少し心配になる。まさか日本の高校生が17歳のA-RODや、18歳のソトのような形でMLBと契約するようになるとは思わないが、ここまでMLBとの間に年俸格差が広がると、日本である程度活躍した主力選手たちがこぞってアメリカを目指すのが、今まで以上に自然な流れに見えてしまうからだ。

 もはや「メジャー挑戦」などではなく「メジャー移籍」の時代である。

 今年は佐々木朗希、来年は村上宗隆と、NPBのスター選手の海外流出は今後も止まりそうにない。それなのに、NPBが「観客動員数はMLBと同等以上」と報じられ、あたかも日本には世界屈指のプロ野球リーグがあるような幻想を抱いてしまいそうなニュースが流れ、それに並行して毎年のように「MLBの二軍化」が危惧されている。
 この違和感は何だ?
 
 佐々木のポスティング行使で話題になった「25歳ルール」や、五輪やプレミア12への出場選手の制限(=メジャーリーガーは絶対に送らない)でも分かるように、世界最大のプロ野球団体=MLBの海外の競技団体や選手への「上から目線」はまさに不動。NPBはこのまま、高額の譲渡金が発生しようがしまいが、結局は主力選手を米国に引き抜かれるだけで、日本が逆に引き抜くことなど想像もできない不公平な関係を続けていくのだろうか。

 大谷翔平のドジャース移籍の際にも感じたことではあるが、米国在住のくせに、巡り巡って憂国の情に駆られてしまうのが、15年総額7億6500万ドル=約1147億円という夢のような超大型契約なのかもしれない――。

文●ナガオ勝司

【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO

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