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NBA

今季限りでの引退を表明しているカーターが現在の胸の内を吐露「あの試合がラストゲームで、ラストショットになったとしても問題ない」

秋山裕之

2020.04.03

カーターはニックス戦が現役ラストゲームになる可能性について「ラストショットを決めたんだし問題なんてない。自分のキャリアと終わり方についても良かったと感じてるよ」と胸の内を語った。(C)Getty Images

カーターはニックス戦が現役ラストゲームになる可能性について「ラストショットを決めたんだし問題なんてない。自分のキャリアと終わり方についても良かったと感じてるよ」と胸の内を語った。(C)Getty Images

 3月11日(日本時間12日、日付は以下同)、アトランタ・ホークスはホームのステイトファーム・アリーナでニューヨーク・ニックスと対戦していた。

 ところがその試合中、ユタ・ジャズのルディ・ゴベアに新型コロナウイルスの陽性反応が出たことが発覚。その直後にNBAが翌12日からレギュラーシーズンを中断することを発表した。

 ホークスとニックスは試合中だったため、そのまま続行されたが、会場に集まった1万5393人のファンが、今季終了後に現役を引退すると表明していたヴィンス・カーターの“ラストゲーム”になるかもしれないと察して“We want Vince!”の大合唱を始めた。

 ゲームはホークスが7点差をつけられ敗戦濃厚となった延長残り19.5秒、カーターがコートに登場。残り13.4秒にトレイ・ヤングのパスを受け取った43歳の大ベテランは、トップ・オブ・ザ・キーから3ポイントを鮮やかに沈めた。するとカーターはヤングと抱き合い、会場のファンへ感謝の気持ちを示してコートを後にした。

「私のキャリアは、私1人の力で成し遂げたものではない。周りにいる人たちに話を聞けば、私の想いを知ることができるはずだ。『とても感謝している』とね。でも引退して自分の時間を過ごすことにも、何の問題も感じてはいない。それもそれでいいことだと思ってるんだ。これまで素晴らしい試合をプレーすることができたからね。もしこの試合が最後だとしたら、私は最終戦でキャリア最後のショットを決めたことになる。(突然のシーズン中断は)奇妙な気がするけど、クールな思い出でもあるよ」とカーターは試合後のインタビューで語っていた。
 
 さらに、カーターはツイッターで「今夜は奇妙な夜だったけれど、22年にもおよぶ旅路をともにしてくれた皆には心から感謝している。この試合が最後になるかもしれないから、今まで皆がくれた愛とサポートに感謝していることを伝えておくよ」と、ファンへのメッセージも投稿。

 シーズン中断から3週間が経過した4月2日、カーターは『The Ringer』のポッドキャストに出演。「私は今だからこう言える。今シーズンがどんな形で終わるかなんて、誰も知りようがなかったってね」と口にし、こう続けた。

「もしあの試合がラストゲームで、ラストショットになったとしても、私はラストショットを決めたんだし、問題なんてない。自分のキャリアとその終わり方についても良かったと感じてるよ」

 現在も新型コロナウイルスが世界的に大流行していることから、ニックス戦がカーターのラストゲームになる可能性は十分ある。それでも、カーターはNBA史上最長となる22年間プレーし、1990、2000、2010、2020年代という4つのディケイドをプレーした史上初の選手という事実に変わりはない。

 ルーキーシーズン(1998-99)がロックアウトのため50試合の短縮、ラストシーズンが新型コロナウイルスによるシーズン中断という奇妙なシーズンを送ることとなったカーター。キャリア初期にスーパースターとして一世を風靡し、年を重ねるにつれてロールプレーヤーの役割を受け入れ、メンターとしても活躍してきた43歳は、バスケットボールを心底愛し、誰よりも楽しんでプレーした男として、世界中のファンの脳裏に刻まれていくことだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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