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グリズリーズ戦で同点弾をミスも、MVPヨキッチの自信は揺るがず「自分を疑うことなんてない」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2021.11.05

昨季は初のシーズンMVPに輝いたヨキッチ。チームは苦戦しているが、今季も目覚ましい活躍を見せている。(C)Getty Images

 昨季のMVPニコラ・ヨキッチ率いるデンバー・ナゲッツは、今季8試合を終えて4勝4敗。現地時間11月1日、3日のメンフィス・グリズリーズとのアウェー2連戦では、昨季3戦全勝と相性の良かった相手に連敗を喫するなど、苦戦を強いられている。

 1日の初戦は40分以上にわたって相手にリードを許す展開で、97-106で敗戦。3日の試合では同点7回、リードチェンジ19回という激戦となったものの、106-108で接戦を落とした。

 エースガードのジャマール・マレーをケガで欠いているナゲッツは、当然ヨキッチへの負担が大きく、今季もここまで平均25.1点、13.4リバウンド、5.6アシスト、1.5スティールと、いずれもチームトップの数字をマーク。

 1日にはユタ・ジャズのクイン・スナイダー・ヘッドコーチが、「あのサイズだからこそ、彼の持つスキルセットは非常にユニークなんだ。ポイントガードとしてプレーし、ウイングのように得点できるし、ポストムーブも豊富で、ターンアラウンドからのジャンパーはほぼブロック不可能。私は彼のプレーを観るのが楽しくて大好きなんだ」と絶賛するほど、稀代の万能ビッグマンとしての地位を確立している。

 だが3日のグリズリーズ戦。2点ビハインドで迎えた最終盤に、ヨキッチはジャレン・ジャクソンJr.との1対1から同点を狙ったショットを放つもミス。

 対峙したジャクソンJr.は「普段、(あのショットは)リムの前に当たって、その後に奥へと転がって入るんだ。でもあの時は少し短かったということ。僕らは少しでも彼を不快にさせるように仕向けたのさ」と振り返った。
 
 一方、この試合でゲームハイの34得点に11リバウンド、5アシストをマークしたヨキッチはすでに前を向いている。「あのショットはどんな日であろうと打っていく。自分を疑うことなんてない。あれはいいショットだった」と自信が揺らぐことはなかった。

 ヨキッチはこれまで何度となくチームを救うショットを沈めており、勝負どころでも決め切る力があることを証明している。もっとも、この試合でナゲッツは第1クォーターに19-37と大きなビハインドを背負っており、シーズン全体でも第1クォーター(平均2.9点差)と第4クォーター(同1.6点差)にビハインドを背負っているというデータが出ている。

 ヨキッチは「まるで毎試合、僕らはどこか(のクォーター)でダメなプレーをしてしまっている。どうしてなのかは分からないけど、自分たちで解決していかないといけない」と向上を誓っている。

 チームは現在ウエスタン・カンファレンス7位タイ。ここからさらに浮上するためには、平均10.9点、フィールドゴール成功率36.4%、3ポイント成功率21.7%と不振のマイケル・ポーターJr.の奮起がカギになるだろう。3年連続でウエスト3位以上の実績を残すナゲッツの逆襲に注目だ。

文●秋山裕之(フリーライター)