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「経験不足と見ることはできない」名将カーが全選手ファイナル初出場のセルティックスを警戒<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2022.06.02

カーHCは全選手がファイナル初出場のセルティックスについて「経験不足と見ることはできない」と警戒した。(C)Getty Images

 現地時間6月2日、今季の優勝チームを決めるNBAファイナルが幕を開ける。イースタン・カンファレンスはボストン・セルティックス、ウエスタン・カンファレンスはゴールデンステイト・ウォリアーズが大舞台へ進出した。

 NBAは今季で創設75周年。その長い歴史のなかで数々のスター選手が誕生してきたが、プレーオフに出場できたとしても、ファイナルはまた別格。

 例えば、1980年代に名スコアラーとして鳴らしたドミニク・ウィルキンス(元アトランタ・ホークスほか)、2005、06年にMVPに輝いたスティーブ・ナッシュ(元フェニックス・サンズほか)、リーグ史上初の4世代(90、00、10、20)でプレーしたヴィンス・カーター(元トロント・ラプターズほか)といったレジェンドは、一度もファイナルにたどり着けずに現役生活を終えている。

 セルティックスではアル・ホーフォードがキャリア15シーズン目、プレーオフ通算141試合を終えてようやくこの場に立ったが、このベテランを除くチームのロースターにはキャリア10年目以上の選手は皆無で、もちろんファイナル出場経験もない。
 
 とはいえ、セルティックスはマーカス・スマートが在籍8年目、ジェイレン・ブラウンが同6年目、ジェイソン・テイタムが同5年目、ロバート・ウィリアムズ三世が同4年目、グラント・ウィリアムズが同3年目と、コアメンバーが一緒にプレーしてきた。

 それに今プレーオフではカンファレンス・セミファイナルで昨季覇者ミルウォーキー・バックス相手に2勝3敗から2連勝で撃破、マイアミ・ヒートとのカンファレンス・ファイナルでは敵地で行なわれた最終戦に勝利するなど、タフな経験を積んできた。

「確かに、我々にはファイナルの経験がある。それは事実だ。だがボストンは決して若いチームではない。彼らはファイナルに進んだことはないが、その点で経験不足と見ることはできない」

 ウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はこのように語り、各ポジションに実力者を揃えるセルティックスを警戒。ファイナル出場経験の有無ではなく、それ以外の面でも相手を分析しているのだろう。

 レギュラーシーズンにおけるディフェンシブ・レーティングで、セルティックスはリーグトップ(106.2)、ウォリアーズはリーグ2位(106.6)の成績を残している。前者にはテイタムにブラウン、後者にもステフィン・カリーやクレイ・トンプソン、ジョーダン・プールといった爆発力のあるスコアラーを有しているだけに、両チームによる頂上決戦はファイナルの出場経験の有無に関係なく、白熱したシリーズとなるに違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)
 
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