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アデトクンボが3年ぶりの代表戦で圧巻の存在感! 欧州選手権を前に「チームにはチャンスがある」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2022.08.11

2019年W杯(写真)以来の代表戦で格の違いを見せつけたアデトクンボ。9月開幕の欧州選手権で頂点を狙う。(C)Getty Images

 現地時間8月9日、ギリシャ代表とスペイン代表がFIBAユーロバスケット(欧州選手権)を前に親善試合を行ない、1万5000人ものファンの声援を受けたギリシャが86-70で勝利を収めた。

 この試合でミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボがギリシャ代表チームに復帰。約20分の出場ながら31得点(FG11/13)、10リバウンド、3アシストをマークし、格の違いを見せつけた。

 アデトクンボが同代表でプレーするのは2019年のFIBAワールドカップ(W杯)以来、約3年ぶりのこと。来月のユーロバスケットへの出場を表明するNBAのスーパースターの存在は、ギリシャにとって何より心強いに違いない。

 もっとも、9日に現地メディア『Greek City Times』へ公開された記事の中で、アデトクンボは決して浮足立ってはいないと話していた。

「僕は世界のベストプレーヤーじゃない。バックスでやっているプレーでチームを助けられるかって?それは難しいな。バックスでやっているようにはいかないんだ。僕にアジャストできる11人がいるわけじゃないからね。でもチームが求めることならどんなことだってやってみせる。このチームにはチャンスがあるからね」

 バックスは自他ともに認めるアデトクンボ中心のチーム。一昨季にリーグの頂点に立ち、ファイナルMVPを手にした男は、昨季も平均29.9点、11.6リバウンド、5.8アシスト、1.07スティール、1.36ブロックを叩き出し、攻守で暴れ回った。

 ここ4シーズン連続でオールNBAとオールディフェンシブの各1stチームに名を連ねているように、アデトクンボはリーグを代表するトップスターなのは間違いない。
 
 ただその一方で、ギリシャ代表としてこれまで出場した国際大会では優勝はおろか、メダルを獲得したこともない。19年のW杯では平均14.8点、8.8リバウンド、2.4アシスト、2.4スティールを残すもチームは11位。15年の欧州選手権ではチームこそ5位に入るも、平均9.8点、6.9リバウンド、1.1アシストに終わっていた。

 先のインタビューでも「正直な話、昨日のトレーニングから見て、僕らはメダル獲得に向けて準備しきれていない」と漏らしていたが、アデトクンボには決して焦る様子はない。

「この3週間で練習を重ねていけば(メダル獲得に向けた準備は)できるさ。僕らは現実的なゴールを設定すべきなんだ。バックスでも、最初からチャンピオンシップを目指してはいなかった。少しずつ出来上がっていくものなのさ」

 アデトクンボにとって朗報なのは、ギリシャ代表チームにバックスのジョシュ・オッペンハイマーAC(アシスタントコーチ)がコーチングスタッフとして入ること。大会を通して、さらに終了後もNBAシーズンへ臨むうえで強力なサポート役を担ってくれるだろう。

 9月1日から欧州4か国で開幕するユーロバスケット。ギリシャはグループCでクロアチア、イタリア、イギリス、ウクライナ、エストニアと対戦する。

文●秋山裕之(フリーライター)