ドイツのベルリンで連日熱戦が続いているユーロバスケット2022は、決勝トーナメントも佳境に突入。
9月13日に行なわれた準々決勝1日目、第1試合には、現世界王者のスペインが登場。欧州から一番乗りで来年のワールドカップ出場を決め勢い全開のフィンランドを対戦相手に迎えた。
試合は、フィンランドの3ポイントが次々に決まり、第1クォーターから30-19 と2桁のリードを奪う展開に。
これは試合前にセルジオ・スカリオロHC(ヘッドコーチ) が警戒していたとおりのシナリオだった。スペインの指揮官は、このフィンランド戦について、「これまでで一番、準備に頭を悩ませている」と本音を漏らしていた。
「戦術的に、彼らのような、独特のプレーをするチームには対策を立てるのが非常に難しい。(ラウリー)マルッカネンを止めるだけではダメだ。周りにも優秀な3ポイントシューターが何人もいて、カバーしなければならないものがあまりに多い。タスクが多い試合ほど、当然ながら難しい」
加えて、ラウンド16突破ですでに殊勲賞もので、「失うものはない」気持ちで臨んだフィンランドに対し、スペインには「勝って当然」という見えないプレッシャーがあった。
しかしさすがは欧州の雄。9点ビハインドで突入した後半戦、攻撃ではヴィリー・ヘルナンゴメスが連続得点、守備ではボールマンに厳しいチェックを仕掛けてターンオーバーを誘発し、外のシュートを抑えると、わずか5分で逆転に成功する。
そこからはお家芸のパスワークでリズミカルに点を奪い、最後はスペインが100-90で勝利。これでスペインは1999年大会から11大会連続でベスト4入りを果たした。
この試合でまたも傑出した働きを見せたのがルディ・フェルナンデスだった。スティールや客席に飛び込んでのボールセーブなど指揮官が「18歳の選手のよう」と称賛したエネルギッシュで身体を張ったプレー。そして勝負所での2本の3ポイントと、9人がユーロバスケット初出場の若いチームを、37歳の主将は自らのパフォーマンスで引っ張った。
それでも、スペインから最大15点のリードを奪ったフィンランドの躍進ぶりも目覚ましい。この日もマルッカネンはゲームハイの28得点、11リバウンドをマークしたが、フィンランドは決して彼のワンマンチームではなかった。
相手に流れが傾きそうな場面で勢いを断ち切る貴重なワンプレーを繰り出したのは常にベテラン勢だった。16年ぶりに出場した2011年のユーロバスケット以来、5大会連続出場を支えてきた38歳のキャプテン、ショーン・ハフら基幹メンバー3人。
彼らが来年のワールドカップまで残るかどうかはわからないが、アメリカのアカデミーに通う18歳のガード、ミロ・リトルなど、20歳前後の若手も着々と育っている。
ラッシ・ツオビHCは、「この大会で、若い選手たちに十分にプレータイムを与えることができたのは来年へ向けての非常に良い準備になった。ここからの1年、各自が質の高いリーグでみっちりと鍛えられることで、来年のワールドカップでは確実に今より良いチームに成長している」と来年のW杯に向けて抱負を語った。
文●小川由紀子
9月13日に行なわれた準々決勝1日目、第1試合には、現世界王者のスペインが登場。欧州から一番乗りで来年のワールドカップ出場を決め勢い全開のフィンランドを対戦相手に迎えた。
試合は、フィンランドの3ポイントが次々に決まり、第1クォーターから30-19 と2桁のリードを奪う展開に。
これは試合前にセルジオ・スカリオロHC(ヘッドコーチ) が警戒していたとおりのシナリオだった。スペインの指揮官は、このフィンランド戦について、「これまでで一番、準備に頭を悩ませている」と本音を漏らしていた。
「戦術的に、彼らのような、独特のプレーをするチームには対策を立てるのが非常に難しい。(ラウリー)マルッカネンを止めるだけではダメだ。周りにも優秀な3ポイントシューターが何人もいて、カバーしなければならないものがあまりに多い。タスクが多い試合ほど、当然ながら難しい」
加えて、ラウンド16突破ですでに殊勲賞もので、「失うものはない」気持ちで臨んだフィンランドに対し、スペインには「勝って当然」という見えないプレッシャーがあった。
しかしさすがは欧州の雄。9点ビハインドで突入した後半戦、攻撃ではヴィリー・ヘルナンゴメスが連続得点、守備ではボールマンに厳しいチェックを仕掛けてターンオーバーを誘発し、外のシュートを抑えると、わずか5分で逆転に成功する。
そこからはお家芸のパスワークでリズミカルに点を奪い、最後はスペインが100-90で勝利。これでスペインは1999年大会から11大会連続でベスト4入りを果たした。
この試合でまたも傑出した働きを見せたのがルディ・フェルナンデスだった。スティールや客席に飛び込んでのボールセーブなど指揮官が「18歳の選手のよう」と称賛したエネルギッシュで身体を張ったプレー。そして勝負所での2本の3ポイントと、9人がユーロバスケット初出場の若いチームを、37歳の主将は自らのパフォーマンスで引っ張った。
それでも、スペインから最大15点のリードを奪ったフィンランドの躍進ぶりも目覚ましい。この日もマルッカネンはゲームハイの28得点、11リバウンドをマークしたが、フィンランドは決して彼のワンマンチームではなかった。
相手に流れが傾きそうな場面で勢いを断ち切る貴重なワンプレーを繰り出したのは常にベテラン勢だった。16年ぶりに出場した2011年のユーロバスケット以来、5大会連続出場を支えてきた38歳のキャプテン、ショーン・ハフら基幹メンバー3人。
彼らが来年のワールドカップまで残るかどうかはわからないが、アメリカのアカデミーに通う18歳のガード、ミロ・リトルなど、20歳前後の若手も着々と育っている。
ラッシ・ツオビHCは、「この大会で、若い選手たちに十分にプレータイムを与えることができたのは来年へ向けての非常に良い準備になった。ここからの1年、各自が質の高いリーグでみっちりと鍛えられることで、来年のワールドカップでは確実に今より良いチームに成長している」と来年のW杯に向けて抱負を語った。
文●小川由紀子
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