かつてカレッジバスケットボールを熱狂させた、ジマー・フレデッテ。コアなNBAファンならばその名はご存じだろう。

　ブリガムヤング大時代には１試合52得点をマークするなど数々の記録を打ち立て、“ジマー・マニア”と呼ばれる熱狂的なファンを持つスーパースターだった。しかし、NBAでは期待されたほどの結果を残せず、キャリアは花開かなかった。

　2011年のドラフトでミルウォーキー・バックスから全体10位指名を受け、トレード先のサクラメント・キングスでデビューするも、ルーキーイヤーは出場61試合、平均18.6分のプレータイムで7.6点と振るわず。シカゴ・ブルズやニューオリンズ・ペリカンズなど複数の球団を転々とした後は、中国の上海シャークスやギリシャのパナシナイコスと、国外リーグに活路を求めた。

　今年の夏も、主力の総入れ替えを図ったユタ・ジャズのサマーリーグに参加し、好感触は得ていたが、起用法などについてフロントと意見が合わず、契約には至らなかった。
  　その彼が再び、スポットライトの当たる舞台に戻ってきた。現在彼は、東京オリンピックで初めて正式種目に採用された３人制バスケットボール「3x3（スリー・エックス・スリー）」のアメリカ代表として、2024年のパリ五輪出場を目指しているのだ。

　きっかけは、ブリガムヤング大時代の先輩が、3x3アメリカ代表ヘッドコーチのフラン・フラシーラと友人関係にあり、フレデッテを紹介したことだった。

　連絡を受けたフレデッテは飛びついた。

「アメリカ代表としてオリンピックでバスケットボールをプレーできるなんて、僕がずっと夢見ていたことだった。でも５対５のチームではプレーできそうにない。だから『フラン、やります！』って即答したよ」

『olympics.com』のインタビューでフレデッテはそう語っている。少年時代に仲間たちと3x3に明け暮れていた彼にとっては、馴染みのある競技でもあった。

「3x3はジマーにうってつけだ。彼のプレーはいまだにトップレベル。競争心も旺盛で、自身のこれまでの経歴に、オリンピック出場という新たな可能性を積み上げたいという意欲がある」と、フラシーラHCも彼の参入を歓迎している。