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“71得点男”ミッチェルの同点弾は誤審? リーグはレーンバイオレーションがコールされるべきだった<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2023.01.05

ミッチェルは第4クォーター終盤、フリースローをわざと落として自ら同点弾を決めたが、リーグによるとこれはレーンバイオレーションだったという。(C)Getty Images

 現地時間1月2日。クリーブランド・キャバリアーズはホームのロケットモーゲージ・フィールドハウスでシカゴ・ブルズに最大21点リードを許していたものの、1人の男が歴史的なスコアリングショーを開演。

 その男の名はドノバン・ミッチェル。26歳のシューティングガードは第3クォーターだけで24得点をあげると、続く第4クォーターにも18得点を叩き出した。3点ビハインドで迎えた残り4.6秒にはフリースローの2本目をわざと落とし、そのこぼれ球を拾って自らショットをねじ込み、試合は延長へ。

 延長に入ってもミッチェルの勢いは止まらず、5分間だけで3本の3ポイント成功を含む13得点と爆発し、キャブズが145-134で勝利。終わってみれば71得点に8リバウンド、11アシストまで伸ばし、NBA史上7人目の70得点プレーヤーとなった。

 これまでNBAで70得点以上を奪ったのはウィルト・チェンバレン、デイビッド・トンプソン、エルジン・ベイラー、デイビッド・ロビンソン、コビー・ブライアント、デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)の6人のみ。
 
「ウィルト(チェンバレン)のような男たちとレコードブックにいるなんて、本当にありがたいね。僕はいつだって自分がリーグのベストプレーヤーの1人になれるかもしれないと信じてやってきた。あの偉大なカテゴリーへ仲間入りできるなんて、もう言葉が出てこないよ」

 試合後にそう語ったミッチェルは、2017年3月24日に70得点をマークしたブッカーを抜き、現役トップに立った。キャブズのトップスコアラーは、ユタ・ジャズ在籍時の2020年8月17日にデンバー・ナゲッツとのプレーオフ1回戦の初戦でNBA歴代3位の57得点を記録しており、これでレギュラーシーズン、プレーオフの両方で現役トップとなった。

 だが『NBA』のLast Two Minute Reportは、第4クォーター終盤に決めた同点弾は、ミッチェルが放ったフリースローがバスケットに触れる前に動いていたため、レーンバイオレーションがコールされるべきだったと発表。本来であれば、キャブズは128-130で敗戦し、ミッチェルは56得点という結果になっていたという。

 ただ、会場内の盛り上がりは異様で、観客が歴史的瞬間を目の当たりにし、今季から新加入したエーススコアラーのミッチェルをチーム全体で祝福しており、この先も"71得点"という記録が取り消されることはないだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)
 
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