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アイバーソンが“憧れ”ジョーダンとの対戦を懐古「申し訳なさもあったけど『あなたは戦争で犠牲になっただけだ』とも思った」<DUNKSHOOT>

ダンクシュート編集部

2023.08.05

ルーキーの頃からジョーダンに向かっていったアイバーソン。その裏には強烈な憧れの気持ちがあったようだ。(C)Getty Images

 アレン・アイバーソンと言えば、NBAで4度のスコアリングリーダーに輝いた殿堂入りレジェンドだ。"史上最も小さな得点王"が、ルーキーイヤーに神様マイケル・ジョーダンを翻弄した伝説のプレーを振り返っている。

 1996年のドラフト全体1位指名でフィラデルフィア・セブンティシクサーズに入団し、すぐにチームのエースに上り詰めたアイバーソンは、身長183cm(実際はそれ以下との説もあり)のサイズでありながら大男たちを相手に得点を量産。2000-01シーズンには平均31.1点で自身2度目の得点王に輝くとともに、シーズンMVPを獲得、NBAファイナルにも進出した。

 キャリア中盤以降はデンバー・ナゲッツ、デトロイト・ピストンズ、メンフィス・グリズリーズ、トルコのベシクタシュと渡り歩いたものの、通算2万4368得点はNBA歴代28位にランク。2016年にバスケットボール殿堂入り、21年にはNBA75周年記念チームに選出されている。

 そんなアイバーソンのキャリアのハイライトのひとつが、1997年3月12日に行なわれたシカゴ・ブルズ戦、トップ・オブ・ザ・キーからジョーダンを相手にクロスオーバーを駆使して翻弄し、プルアップジャンパーを沈めてみせたプレーだ。チームは104-108で敗れるも、36分弱の出場で37得点(フィールドゴール15/23、3ポイント5/8、フリースロー2/2)を記録したアイバーソンのパフォーマンスは、25年以上が経った今も語り継がれている。
 
 アイバーソンは『The Dinner Party』で元NBA選手のジェイレン・ローズに対し、「ボブキャッツ(現シャーロット・ホーネッツ)戦を見に行った時、俺はどれだけ彼(ジョーダン)を愛しているか伝え続けた。でも彼は『君はそんなに私を好きじゃないだろ。もし好きなら、私をクロスオーバーでかわしたりしなかっただろう』と言ったんだ。俺は申し訳なさもあったけど、同時に『マイク、あなたは戦争で犠牲になっただけだ』とも思った」と振り返っている。

 アイバーソンの中でジョーダンは"オンリーワン"の存在であり、かつて『Andscape』のインタビューで「レブロン(ジェームズ/現ロサンゼルス・レイカーズ)は、今までで最も総合力の高いバスケットボールプレーヤーだと思う。辞書でバスケットボールプレーヤーと調べれば、レブロンの写真が出てくる。でも、俺にとってはマイクがすべてだった」と断言している。

「彼は俺にビジョンを与えてくれた。バスケットボールをしたいと思わせてくれた。彼は俺のすべてなんだ。俺はマイクのようになりたかった。今でも彼に会うたびに興奮するし、緊張しているよ。彼は俺の中での一番。マイク以外に俺のリストのトップに来る選手はいない」

 アイバーソンにとって、憧れのジョーダンとの対戦は永遠に色あせることはないようだ。

構成●ダンクシュート編集部
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