NBA

2020年ドラフトでNBA入りが期待される19歳。イスラエルの至宝、デニ・アブディヤとはいったい何者か

小川由紀子

2020.01.07

母国イスラエルの名門で腕を磨き、国際舞台で頭角を現わしたアブディヤ。今年のドラフトで上位指名が期待される逸材だ。(C)Getty Images

 世界中からトッププレーヤーが集まるNBAは、誰もが認める世界最高峰の舞台だ。もちろん、ドラフトにもアメリカの大学出身者のみならず、各国から若き精鋭たちがエントリーする。2020年6月25日にブルックリンのバークレイズ・センターでその名を呼ばれるであろう、ヨーロッパで活躍する3人のヤングプレーヤーを、全3回に渡って紹介する。

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 第2回目に紹介するのは、イスラエルのマッカビ・テルアビブに所属するデニ・アブディヤ。数々のモックドラフト(指名順予想)でトップ10に名を連ねる、将来を嘱望された19歳だ。

 身長205cmとサイズに恵まれ、1番(ポイントガード)から3番(スモールフォワード)までをこなすアブディヤは、パス、シューティング、ゲームメイクなど多彩なスキルを備えた万能型。イスラエル出身のNBA選手としては、2009年から昨季まで10シーズンNBAでプレーしたオムリ・カスピ(現マッカビ・テルアビブ)や、現在インディアナ・ペイサーズに所属するTJ・リーフらをしのぐ逸材だと関係者からも注目を集めている。
 
 父親はセルビア系イスラエル人のズファー・アブディヤ。ユーゴスラビア代表でも活躍したパワーフォワードで、1982年の世界選手権(現ワールドカップ)では銅メダルを獲得している。そして引退後の2001年に、元陸上選手の妻との間に息子のデニが誕生した。

 有名バスケ選手だった父を持ちながら、アブディヤが最初に夢中になったスポーツはフットボールだった。しかし2年ほどで「やりきった感」を覚えると、8歳で地元ヘルツリヤのバスケクラブに入団。そこには1学年上からのクラスしかなかったが、父親の「大丈夫、やってごらん」という言葉を信じて新たなステージに飛び込んだ。

 12歳になった2013年には国内で最も人気を誇るビッグクラブ、マッカビ・テルアビブに移籍したが、その時が彼にとって最初の試練となった。地元では目立つ存在だったものの、ここでは自分より大きく、上手い選手たちを目の当たりにした。インタビューで当時について聞かれるたび、「順応するのに相当時間がかかった」と彼は答えている。
 
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