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「LAを離れたくなかった」ジョージがクリッパーズ退団の経緯を明かす「最初のオファーは敬意を欠いたものだった」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2024.07.09

LA出身のジョージはクリッパーズとの延長契約を望んでいたが、自身が望んだ内容とチームが提示した条件には大きな乖離があった。(C)Getty Images

 7月6日(日本時間7日、日付は以下同)、フィラデルフィア・セブンティシクサーズは、ポール・ジョージと契約したことを発表。米スポーツ専門局『ESPN』は、契約内容をMAX額の4年2億1200万ドル(約339億2000万円)と報じている。

 2024-25シーズンの契約がプレーヤーオプションだったジョージは、昨季中にロサンゼルス・クリッパーズと延長契約を締結すると思われていた。しかし交渉は進まず今夏にオプション破棄で完全FA(フリーエージェント)になり、2019年から5シーズンを過ごしたチームを退団することに。

 ただ、8日にフルエピソードが公開された自身のポッドキャスト番組『Podcast P with Paul George』で、ジョージはクリッパーズへ残る可能性もあったことを明かしている。

「俺はLAを離れたくなかった。ホームだし、あそこがキャリアを終えたい場所であり、できる限りハードにプレーしてタイトルを勝ち獲りたかった。それが(キャリアの)ゴールだから、俺はLAにコミットしていたんだ。

 でも最初にチームから提示されたオファーは、敬意を欠いたものだと思った。恨みっこなしだし、俺たちの間に愛が失われることはない。これはビジネスだからね。だけど、最初の2年6000万ドル(約96億円)という内容に、俺は『おかしいだろ!』と感じた。そこで『もうサインしない』ってなったのさ」

 その後オファーは年平均4500万ドル(約72億円)近くまで上昇。ジョージは今年1月にカワイ・レナ―ドが結んだ3年総額1億5300万ドル(当時のレートで約221億8500万円)と同等で、トレード拒否権も求めたものの、首脳陣が首を縦に振ることはなかった。
 
「カワイへ延長契約を与えると聞いた時、俺も同等のオファーをもらえるんだと思っていた。彼ら(フロント)は俺たち2人を同等だと見ているんだとね。俺たちは一緒にやってきた。でも彼らはカワイへあの契約を用意し、俺にはしなかった。チームはそうしたくなかったということだ」

 そこでジョージは新天地を求めてFA市場に参戦。リーグ屈指のビッグマンで元MVPのジョエル・エンビード、オールスターガードのタイリース・マキシーを擁し、キャップスペースに大きな空きがあったシクサーズへの移籍を決めた。

 これによって、ジョージとレナードを中心に王座獲得を目指したクリッパーズの一時代は終焉。ジョージが在籍した5シーズンでチームは4度プレーオフ出場を果たしたが、最高成績は2021年のカンファレンス決勝進出で、優勝はおろかファイナルにも手が届かなかった。

 期待されていた結果を残すことはできなかったが、それでもジョージは自身がMAX額の契約に値すると感じていたようだ。

「俺たちはユニットとして健康体を保つことができなかった。でも俺はあの契約(3年1億5000万ドルとトレード拒否権)を得るのに十分の働きを見せたと思っていた。でも彼らはそうじゃなかった。行き詰まりってやつさ」

 5月に34歳を迎えたジョージは、今もなおリーグ有数の実力を有している。新天地でアイドルのコビー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)へのリスペクトを込めて背番号8を着用する万能戦士が、今季どんな活躍を見せるか楽しみだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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