開幕が目前に迫ったパリオリンピック2024。男子バスケットボールは、昨年のワールドカップ(W杯)で48年ぶりに自力での五輪出場権を獲得したとあって、高い注目度のなか大会を迎える。
大きな期待からいたるところで“史上最強”と喧伝される現アカツキジャパン。W杯5試合で初の3勝をマークし列島を沸かせたメンバーに、NBAで5年のキャリアを積み重ねた八村塁が加わったのだから、それは間違いではないだろう。
ただし、ここで勘違いしてほしくないのは“史上最強”の布陣が揃ったからといって、オリンピックで勝てる保証は一切ないということ。そもそも32か国が出場できるW杯に対し、オリンピックの枠はわずか12。日本はW杯でアジアの1枠を勝ち取ったとはいえ、全体の順位は19位に過ぎなかった。
これはパリ五輪に出場する国の中では最も下の順位だ。日本と同様にW杯1次ラウンドで敗れたフランスと南スーダン(ともに最終成績3勝2敗。前者が18位、後者が17位)を除く9チームは、みな2次ラウンド(16強)に進んでいる。オリンピックはいわば、W杯2次ラウンド以上のレベルがスタートラインというわけだ。さらにアメリカ代表を筆頭に、各国の戦力充実度もパリ五輪の方がワンランク上がっている。
巷では“史上最強”という枕詞だけを見て、直前の強化試合で連敗を喫したチームに対し「オリンピックで勝てるのか」「下手したら全敗もあり得る」といった声も聞かれるが、もともと日本が勝ちを計算できる試合などひとつもない。まずはこの舞台に立てることを誇りに思い、挑戦者の気持ちでぶつかるだけだ。
バスケットに精通しているファンであれば、今大会で1勝をあげることがどれだけ困難なことかは理解しているだろうが、同じ“史上最強”という前評判でも、現実的にメダルが狙える女子バスケや男子バレーなどとは世界での立ち位置が異なるということを認識しておかなければならない。
もちろん、選手たちはそのことを理解している。日本の今大会の目標は、男子史上初の「ベスト8」。これについて渡邊雄太は「(メダル獲得などではなく)現実的かつ、難易度もあって良い目標」と語っており、チームもそこに向かって調整を進めてきた。
実際、4チームに分かれた3つのグループリーグで争われる今大会では、3試合のうち1勝をあげられればベスト8(決勝トーナメント)進出は見えてくる。勝ち上がれるのは、各組上位2チーム(計6チーム)+各組3位の中の上から2チーム。同じシステムで行なわれた前回の東京五輪では、各組の3位はすべて1勝2敗で並び、総得失点差で-8のアルゼンチンと-16のドイツが勝ち抜けた(-49のチェコが脱落)。
今大会の日本も最初の2戦でぶつかる優勝候補のドイツ(FIBAランク3位)、フランス(同9位)とは極力点差を少なく戦い、最後のブラジル(同12位)戦で全力で勝利を狙うのが現実的な戦い方になりそうだ。
なお、日本は開催国枠で出場した前回の東京五輪は3戦全敗で、得失点差は-66。その前に自力で出場した1976年のモントリオール五輪は1勝6敗、その唯一の勝ち星も不戦勝によるものだった。つまり、オリンピックでの実質的な勝利は1972年のミュンヘン五輪まで遡る。今回のパリ五輪は、実に52年ぶりの勝利を目指す壮大な挑戦でもあるのだ。
渡邊は事前の会見で「周りが“歴代最強”だとかそういう言い方をしてくれるのは大変ありがたいですけど」と前置きした上で、「最強かどうかは結果が決めること。結果を残した上で、終わった後に自分たちでそう呼べるようなチームを作っていけたら」と語った。
悲願の1勝、そしてベスト8へ――。男子バスケ史上最大の挑戦が間もなく幕を開ける。
■男子日本代表 パリ五輪対戦スケジュール
※日時は日本時間。カッコ内はFIBAランキング(日本は26位)。
7月27日20:30 vsドイツ(3)
7月30日24:15 vsフランス(9)
8月2日18:00 vsブラジル(12)
構成●ダンクシュート編集部
【PHOTO】パリ五輪に挑むバスケットボール男子日本代表のメンバー12名を一挙紹介!
大きな期待からいたるところで“史上最強”と喧伝される現アカツキジャパン。W杯5試合で初の3勝をマークし列島を沸かせたメンバーに、NBAで5年のキャリアを積み重ねた八村塁が加わったのだから、それは間違いではないだろう。
ただし、ここで勘違いしてほしくないのは“史上最強”の布陣が揃ったからといって、オリンピックで勝てる保証は一切ないということ。そもそも32か国が出場できるW杯に対し、オリンピックの枠はわずか12。日本はW杯でアジアの1枠を勝ち取ったとはいえ、全体の順位は19位に過ぎなかった。
これはパリ五輪に出場する国の中では最も下の順位だ。日本と同様にW杯1次ラウンドで敗れたフランスと南スーダン(ともに最終成績3勝2敗。前者が18位、後者が17位)を除く9チームは、みな2次ラウンド(16強)に進んでいる。オリンピックはいわば、W杯2次ラウンド以上のレベルがスタートラインというわけだ。さらにアメリカ代表を筆頭に、各国の戦力充実度もパリ五輪の方がワンランク上がっている。
巷では“史上最強”という枕詞だけを見て、直前の強化試合で連敗を喫したチームに対し「オリンピックで勝てるのか」「下手したら全敗もあり得る」といった声も聞かれるが、もともと日本が勝ちを計算できる試合などひとつもない。まずはこの舞台に立てることを誇りに思い、挑戦者の気持ちでぶつかるだけだ。
バスケットに精通しているファンであれば、今大会で1勝をあげることがどれだけ困難なことかは理解しているだろうが、同じ“史上最強”という前評判でも、現実的にメダルが狙える女子バスケや男子バレーなどとは世界での立ち位置が異なるということを認識しておかなければならない。
もちろん、選手たちはそのことを理解している。日本の今大会の目標は、男子史上初の「ベスト8」。これについて渡邊雄太は「(メダル獲得などではなく)現実的かつ、難易度もあって良い目標」と語っており、チームもそこに向かって調整を進めてきた。
実際、4チームに分かれた3つのグループリーグで争われる今大会では、3試合のうち1勝をあげられればベスト8(決勝トーナメント)進出は見えてくる。勝ち上がれるのは、各組上位2チーム(計6チーム)+各組3位の中の上から2チーム。同じシステムで行なわれた前回の東京五輪では、各組の3位はすべて1勝2敗で並び、総得失点差で-8のアルゼンチンと-16のドイツが勝ち抜けた(-49のチェコが脱落)。
今大会の日本も最初の2戦でぶつかる優勝候補のドイツ(FIBAランク3位)、フランス(同9位)とは極力点差を少なく戦い、最後のブラジル(同12位)戦で全力で勝利を狙うのが現実的な戦い方になりそうだ。
なお、日本は開催国枠で出場した前回の東京五輪は3戦全敗で、得失点差は-66。その前に自力で出場した1976年のモントリオール五輪は1勝6敗、その唯一の勝ち星も不戦勝によるものだった。つまり、オリンピックでの実質的な勝利は1972年のミュンヘン五輪まで遡る。今回のパリ五輪は、実に52年ぶりの勝利を目指す壮大な挑戦でもあるのだ。
渡邊は事前の会見で「周りが“歴代最強”だとかそういう言い方をしてくれるのは大変ありがたいですけど」と前置きした上で、「最強かどうかは結果が決めること。結果を残した上で、終わった後に自分たちでそう呼べるようなチームを作っていけたら」と語った。
悲願の1勝、そしてベスト8へ――。男子バスケ史上最大の挑戦が間もなく幕を開ける。
■男子日本代表 パリ五輪対戦スケジュール
※日時は日本時間。カッコ内はFIBAランキング(日本は26位)。
7月27日20:30 vsドイツ(3)
7月30日24:15 vsフランス(9)
8月2日18:00 vsブラジル(12)
構成●ダンクシュート編集部
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