日本時間７月28日に行なわれたパリオリンピックの予選ラウンド・グループＢのフランス対ブラジルは、ホスト国フランスが78－66で勝利を収めた。

　この試合、チームの勝利の原動力となったのが、昨季のNBAで新人王に輝いた“フランスの至宝”ヴィクター・ウェンバンヤマ（サンアントニオ・スパーズ）。224cmのサイズに卓越したスキルと身体能力を備える異能のビッグマンは、オフェンスでは両軍最多タイの19得点（フィールドゴール７／13、３ポイント１／４、フリースロー４／７）に２アシスト、ディフェンスでは長い手足と運動能力を生かして４スティールに３ブロック、さらにはゲームハイの９リバウンドと、攻守両面でハイパフォーマンスを披露した。

「バスケットボールを知っている人たちなら、彼がまだ20歳と理解している。だがバスケットボールを知らない人たちからすれば、ヴィクターはすでにマイケル・ジョーダン（元シカゴ・ブルズほか）のように見ている」
  　そう口にしたのは、フランスのヴァンサン・コレHC（ヘッドコーチ）。指揮官は笑みを浮かべながら「（実際にジョーダン級になるのは）さすがに時間を要する」と語るも、「そう遠くはない」と、ウェンバンヤマが持つ無限の可能性に期待を寄せていた。

　大会前の強化試合では２連勝からの４連敗と、先行きが不安視されたフランス。だが、鮮烈なオリンピックデビューを飾った弱冠20歳の超新星に導かれ、白星発進と上々の滑り出しを見せた。

　グループリーグで次に対戦するのは、八村塁（ロサンゼルス・レイカーズ）、渡邊雄太（元ブルックリン・ネッツほか）らを擁する日本代表。31日（日本時間00:15）に行なわれるこの試合にフランスが勝利すれば、決勝トーナメント進出へ大きく前進するだけに、ウェンバンヤマがどんなパフォーマンスを見せるかは必見だ。

文●秋山裕之（フリーライター）

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