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球団史上最年少の50得点に幻の同点弾。マジックのバンケロが歩むNBA次世代スターへの道<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2024.11.01

開幕5試合で平均29.0点をマークするバンケロ。10月28日には自己最多の50得点を叩き出した。(C)Getty Images

 2022年のNBAドラフト全体1位選手で、新人王にも選ばれたパオロ・バンケロ(オーランド・マジック)がスーパースターの階段を駆け上がっている。

 残念ながら本稿執筆後の現地10月31日に右腹斜筋断裂のため無期限の離脱が発表されたが、119-115で勝利した28日のインディアナ・ペイサーズ戦では50得点、13リバウンド、9アシストの大爆発。

 21歳351日での50点超えは、シャキール・オニールよりも2か月早いマジックの最年少記録だった(リーグ歴代最年少は、元ミルウォーキー・バックスのブランドン・ジェニングスで20歳52日/55得点)。

 なお、50得点に加えて10リバウンド以上、5アシスト以上という記録に広げると、バンケロより若い年齢で達成したのは、クリーブランド・キャバリアーズに所属していた当時20歳のレブロン・ジェームズしかいない(2005年3月20日のトロント・ラプターズ戦で56得点、10リバウンド、5アシスト)。
 
 マジックのジャマール・モーズリーHC(ヘッドコーチ)は、「我々は試合の様子を見てコーチングしているわけだが、時に素晴らしい選手のパフォーマンスに見入って、楽しんでしまうという試合がある。今日の試合がまさにそれだった。コート上の彼は、まるでアーティストだったよ」とバンケロを絶賛。

 本人も「ゾーンに入っていた」と、試合中の状態を次のように語っている。

「なんだか地元のジムにいるような感じがしていて、ただひたすら自分のゲームに集中していた。打つショットは全部入るように思えた。すべての試合がそんな風になるわけではないけれど、今日がそういう試合になって嬉しいよ」

 この日のフィールドゴール成功率は61.5%。カットインからのダンク、フェイダウェイ、3ポイントと、言葉通りどこからどんなショットを打ってもボールがバスケットに吸い込まれていく、そんな力強いパフォーマンスだった。

 バンケロは、次のシカゴ・ブルズ戦でもゲームハイの31得点をマークしたが、コンマ1秒というわずかな差で、さらに大ヒーローとなるところだった。

 残り1秒を切って99-102と3点ビハインドで迎えた最終局面。バンケロはスローインを受け取ると同時に、ハーフラインの少し手前からシュートを放つ。決まれば同点で延長戦、という重要なショットは、ブザーと同時にバスケットに収まった。しかし結果的にゴールは認められず、2戦連続のヒーローにはなり損ねた。
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バンケロのシュートを阻んだ特殊ルール