過去30年間で、優勝回数でヒート（３回）を上回るのはレイカーズ（６回）、サンアントニオ・スパーズ（５回）、ゴールデンステイト・ウォリアーズ（４回）の３チームのみ。この数字を見ても、ヒートは新陳代謝の激しいNBAで長期間にわたって成功を収めてきたことがわかる。

　そしてライリーは、「彼が私のコーチングキャリアを救ってくれたと思っている」とアリソンに感謝する。

「あの夏（1995年）を振り返ってみると、私はその後もコーチすることができたのか、非常に疑わしかった。あの時に（移籍して）９月にコーチへ就任したことで、私たちは互いに任務へ取りかかり、チームを良くしていこうと努めてきた」
  　ライリーはHCとして５度の優勝、最優秀コーチ賞を歴代最多タイの３度受賞。レギュラーシーズン通算1210勝（694敗／勝率63.6％）は歴代５位、プレーオフ通算171勝（111敗／勝率60.6％）は同２位と、その実績は‟勝負師“にふさわしく、NBA歴代トップ15コーチにも名を連ねている。

　今年で創設80年を迎えるセルティックスやニックス、78年のレイカーズと比べれば、38年のヒートはNBAの中でも比較的歴史の浅いフランチャイズだ。だが、ライリーとアリソンの存在があったからこそ、その歴史は短いながらも密度の濃いものになっている。

文●秋山裕之（フリーライター）

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