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NBA

「究極のチェス対決だった」NBA随一の頭脳派シェーン・バティエがコビー・ブライアントに講じた“特殊なディフェンス法”を解説

秋山裕之

2020.05.16

2009年のプレーオフでレイカーズが最も苦戦したのが、バティエ擁するロケッツ。激闘の裏には互いの高度な駆け引きがあった。(C)Getty Images

2009年のプレーオフでレイカーズが最も苦戦したのが、バティエ擁するロケッツ。激闘の裏には互いの高度な駆け引きがあった。(C)Getty Images

 レギュラーシーズンではコビーと何度もマッチアップしてきたバティエだが、プレーオフでレイカーズと激突したのはロケッツ時代の2009年のみ。この年のウエスタン・カンファレンス準決勝で、ロケッツはチャンピオンとなったレイカーズを唯一シリーズ最終戦まで追い詰めた。

 エースのトレイシー・マッグレディをケガで欠き、得点源のヤオ・ミンも第4戦からケガで戦線離脱となるなか、ロケッツはアーロン・ブルックスやルイス・スコラ、メッタ・ワールドピース(現在はメッタ・フォード・アーテストへ改名)らが粘りを見せる。

 コビーに対してはバティエとワールドピースという屈強かつタフなディフェンダーをつけたものの、シリーズベストとなる平均27.4点、フィールドゴール成功率45.3%(73/161)を許した。バティエはコビーとのエピソードをこう明かしている。

「彼は様々なデータがあるなかで、それらを解決してしまう厄介な男だった。顔の前に手を置くディフェンスについて面白かったのは、コビーが『その守りは効果的ではない。俺は数多くの条件反射的な動きができるからな。全てお見通しだ』と言ったことだね」
 
 バスケットボールへ全てを捧げてきたコビーは、毎試合前に対戦相手の特徴や癖を頭に叩き込み、常に万全な状態で臨んでいた。だがバティエとしても、コビーへディフェンスをするうえで考えがあったという。

「私が(コビーへ)あのディフェンスをした理由は、ミスを誘うためではないんだ。それは私の狙いではない。私は彼が得点する方法を崩すことを証明し、捕まえようとしたのさ。そうすることで、彼はワーストショット、ドリブルからロングレンジのジャンパーしか打てないだろうと思っていた。私が気にかけていたのはそれだけ。彼がショットを決めようが外そうが関係なかった。でも彼がショットを放つ際、私にとって最も有益なことをしていたこと、それに効率性という面で彼に最も悪影響を及ぼしていたことは分かっていたよ。ゲームの中で、何度も何度もお互いが繰り広げていたのさ。究極のチェス対決だったね」

 コビーというリーグ最高級のスコアラーに対して、バティエはディフレクションやブロックショット、相手がシュートを放つ際にボールをセットする絶妙なタイミングでスナップするなど、あらゆる手段で対抗。コビーが多彩なスキルを駆使してリング下に入り込む場面では、カバーに入ってテイクチャージを奪うハッスルプレーも見せた。

 ショットを放たれる際、ファウルすれすれまで顔に手を近づけた巧みなディフェンスは、バティエという“グルーガイ”の魅力が凝縮された珠玉のプレーだったと言っていいだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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