専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

紅白戦でも敗戦を拒むジョーダン、サインを書く速さすら競うバード……“仲間同士”で激しく争ったドリームチームの競争心【NBA秘話・後編】

大井成義

2020.12.15

マジック:「そうだな、俺が今までプレーしたなかで最高のバスケットボールは、あそこでの練習の時だった。全員が『いっちょやったろうじゃねえか!』ってな感じだったからね。マイケルがクライド(ドレスクラー)をやり込めると、クライドがやり返す。デイビッド・ロビンソンとパトリック・ユーイング、カール・マローンとバークレーも本気でやり合ってる。俺たちの練習への取り組み方は、とにかく尋常じゃなかったよ」

レニー・ウィルケンズ(チームUSAアシスタントコーチ):「ヒートアップしすぎるあまり、我々が止めに入らなければならなかった」

バークレー:「10人のオールスター選手が、自分の力を証明しようとノンストップでやり合うんだぜ。自負心をむき出しにしてな」

PJ・カリーシモ(チームUSAアシスタントコーチ):「彼らはとにかく競争心が旺盛だ。彼らを1時間半以上続けてプレーさせることはできなかったよ。それ以上やると、口から泡を吹いて、終いにはお互いを殺し合うだろう。通常のNBAチームには、もし運に恵まれれば、そういったタイプの選手が1人か2人いる。それがあの時には12人もいたんだ。基礎練習ですら負けるのを嫌がったし、シューティングゲームや、あらゆることで負けを拒んだよ」
 
 7月後半、ドリームチームは満を持してオリンピック本番に臨んだ。結果は言うまでもなく、圧勝に次ぐ圧勝。究極の力と技を、世界中に見せつけたのだった。

ブランフォード・マルサリス(人気トーク番組のバンドリーダー):「ある時、ホテルでジョーダンがアンゴラチームのビデオを見ていた。それも、弱点でも探すかのようにじっと見つめながら。そこで私は話しかけてみたんだ。『邪魔をするつもりはないけど、なぜアンゴラなんかの試合を見ているんですか?』。そしたら彼はこう答えたよ。『俺は常に、相手をシリアスに捉えるようにしている。どんな相手でも、過小評価したことは一度もないよ』。アンゴラのビデオを見ていたのは、彼1人だけだった。私はいろんなことを理解したよ」

マッキンタイア:「私はホテルの部屋に約80個のバスケットボールを運び込んでいて、選手全員にサインをしてもらう必要があった。最後に姿を見せたのがバード。彼は、『誰が一番早く書き上げた?』と聞いてきた。名前は挙げず、『かかった時間は8分から20分まで、さまざま』と言うと、バードは『俺が最速だろう。時間を計ってくれ』と言ってきた。彼はボール全部にサインし、最後の1個を私に投げてよこした。『オッケー、何分かかった?』。『ワォ、4分半』。そしたら彼は、『Yes!』と言って部屋を出ていったよ。最後の最後まで、呆れるほど競争心旺盛な男だと思ったね」

文●大井成義

※『ダンクシュート』2019年11月号掲載原稿に加筆、修正。

【PHOTO】オラジュワン、ジョーダン、バークレー、ペニー……NBAの歴史を彩った偉大なレジェンド特集!
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号