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NBA

トレード期限目前!ラプターズはラウリー放出を決断するのか?本人は移籍を覚悟したような発言も〈DUNKSHOOT〉

秋山裕之

2021.03.25

 ところが、25日のナゲッツ戦終了後の会見では一転。「今夜はなんだか不思議な感じだった。これまでとは違う感じだったのは確かだ。僕が言いたいのは、この先何が起こるかなんて分かるヤツがいるのか? そんなことは誰にも分からないさ」と、トレードを覚悟しているかのような言葉を残した。

 2006年のドラフト1巡目24位でメンフィス・グリズリーズから指名されたラウリーは、08-09シーズン途中にヒューストン・ロケッツへトレード。ここで主力として成長し、12年オフのトレードでラプターズに迎えられた。

 19年10月に『The Players’ Tribune』へ寄稿した中でラウリーは、「トロントへトレードされた時、僕はまるで国外追放されたんだと感じた。当時の僕は、トロントについて何も知らなかったし、知る必要もないと思っていた。このトレードは、この先どこかでプレーする機会を手にするための休憩場所になるだろうと思っていたんだ」と振り返っている。

 だがデマー・デローザン(現サンアントニオ・スパーズ)とともにラプターズをプレーオフチームへと押し上げ、自身はスターターに定着したばかりか、オールスターの常連となるまでに成長。

「自分は間違っていたんだと分かったよ。ここは休憩場所なんかじゃないってね。トロントは素晴らしい街であり、最高のファンベースがあった。彼らが本当に必要としていたのは勝者だったんだ」
 
 ラプターズで確固たる地位を確立したラウリーは、アシストやスティール、3ポイント成功数、トリプルダブル達成数など複数の項目で球団記録を保持。通算得点でも3月にクリス・ボッシュを抜いて、球団歴代2位に浮上したばかりだ。

 アシスタントコーチ時代を含めて、今季で在籍8シーズン目となるニック・ナース・ヘッドコーチは、ナゲッツ戦終了後にこのように語っている。

「私たちはこの地で一緒に成長してきた。私は当時、初めてNBAに足を踏み入れた状態で、彼は先発するような選手ではなかった。そこから、彼はオールスターに6回、(16年のリオデジャネイロ)オリンピックで金メダルを手にし、NBAで優勝するまでになった。それに彼は、ラプターズにおいていくつもの記録を塗り替えてきたんだ。おそらく、彼は史上最高のラプターとして歴史に名を残すだろう」

 指揮官の言葉は、まるでフランチャイズの功労者との別れを予期しているかのようだった。そしてラウリーもそれを受け入れるかのように、「なるようにしかならないってこと。それが真実だ。結局のところ、何かが起こるということは、理由があるんだ。全てをコントロールすることはできないからね」と語っていた。

 はたして、ラプターズが誇る偉大なリーダーは新天地へと旅立つことになるのか。フロントがどんな決断を下すのか注目だ。

文●秋山裕之(フリーライター)
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