107－120とリードされた第４クォーター残り７分36秒にコートへ戻った八村は、限定的にセンターのポジションを務め、208㎝のエネス・カンターとマッチアップ。体格差がある中、最初の１オン１でなんとか失点を防いだものの、リバウンド争いに敗れて５回目のファウルを余儀なくされる。

　あと１回のファウルで退場という窮地に陥ったため、その後はディフェンスでハードにチェックへいくことができず、マークマンに得点を許す場面も見られた。

　それでも、試合終盤に入って吹っ切れたのか、徐々にアタックモードへ突入。残り４分９秒、左ローポスト付近でブラウンとの１対１からファウルを誘ってフリースローを獲得。２分22秒には再び左ローポストからシェミ・オジェレイとの１対１でファウルをもらい、フリースローを２本とも決めてみせる。その直後にはリバウンドからのコースト・トゥ・コーストでウォーカー越しにショットをねじ込んだ。
  　しかし、７点ビハインドで迎えた残り約１分。ほぼノーマークの状況でトップ・オブ・ザ・キーから３ポイントを放つも、リングに嫌われてしまう。ウィザーズはそこから点差を縮めることができず、133－140で敗戦。今季２度目の３連敗を喫し、通算成績を２勝７敗とした。

　八村はファウルトラブルによって24分15秒のプレータイムにとどまったものの、チーム２位の21得点、４リバウンド、２アシスト、１スティールを記録。フィールドゴール75.0％（９／12）、フリースローも４本中３本を沈め、ゲーム最多の44得点を叩き出したビールを援護した。

　短時間で効率よくショットを沈めた八村は、堅守を誇るセルティックス相手にも非凡な得点力を見せつけた。特に試合終盤に、ブラウンやオジェレイ相手にポストプレーからファウルを引き出したことは、これまでの試合から成長を垣間見せたプレーだったと言っていい。

　とはいえ、この日奪った４本のリバウンドのうち、３本がオフェンシブ・リバウンドで、そのほとんどが跳び込みリバウンドもしくはこぼれ球だった。ゴール下ではカンターだけでなく、屈強な肉体を誇るブラウンやスマートにボックスアウトされてしまうと、リバウンドへ跳び込むことができずに苦戦を強いられた。

　この試合を終えて平均5.9本のリバウンドを記録している八村だが、今後試合をこなしていく中で、相手選手がショットを放つタイミングを予想し、より素早くポジション取りをすることが重要だ。それができれば、リバウンド数はこれからもっと増えてくるだろう。
彼が持つ非凡な吸収力と身体能力があれば、どんな相手であろうと対応できると期待したい。

文●秋山裕之（フリーライター）