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NBA

カリーをお手本に急成長!スプラッシュ・ブラザーズの“三男”ジョーダン・プールがGリーグで学んだこと<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.05.29

2019年のドラフト1巡目28位でウォリアーズに入団。初年度は平均8.8点をあげたが、FG成功率33.3%、3ポイント27.9%と安定感を欠いた。(C)Getty Images

2019年のドラフト1巡目28位でウォリアーズに入団。初年度は平均8.8点をあげたが、FG成功率33.3%、3ポイント27.9%と安定感を欠いた。(C)Getty Images

 彼はどこでアーリーショットを打っているか、どんなタイミングでアグレッシブになるのか、いつパスをしているのかなど。それ以外にも、カリーがいかにショットクロックを活用しているかといった「自分がNBAの試合を見る時に注目するようなこと」を、彼はGリーグで意識的に取り組んだ。

 Gリーグで11試合に出場し、平均22.4点、5.3リバウンド、3.5アシストと大活躍を見せたプールは、NBA復帰初戦の26得点を皮切りに10試合連続で2桁得点。課題とされていた安定感の欠如が改善されたことをチームメイトやコーチ陣に示してみせた。

 Gリーグに送られる選手は、「強豪チームでうまくプレーできなかったから下部リーグに降格させられた」と失意の気持ちを抱くもの。ターナーとイグダーラも、プールが抱いた思いに大きく賛同していたが、2年目、「これを成長の機会だととらえよう」と自分の中でマインドチェンジできたことが、自信と能力を身につけるという「Gリーグ体験の成功例」に導いた。

 そして願い通りにNBAに復帰した彼は、いまや優勝候補チームの不可欠な戦力だ。彼がスキルをきっちり磨いたことは、今季のフリースロー成功率でリーグ首位と数字でも証明されている。

 ナゲッツとのプレーオフ1回戦の第3戦では、プールは貴重な体験をしたそうだ。

 最終クォーターの残り時間5分半、104-102とウォリアーズがわずかなリードで迎えた終盤の山場、プールはコートに送り出されてカリー、クレイ・トンプソンらとともにクローザーの役目を任された。
 
 プールはさっそくアンドリュー・ウィギンズの3ポイントをアシスト。自らも4点をあげ、7得点に絡んで118-113 での僅差の勝利に貢献した。

「あの競った場面でコートに立ったことで、攻守両面でいかに彼らが集中していて、あらゆることが重要なのかがよくわかった。彼らがビッグショットを決め、ビッグプレーをし、レーザーのように研ぎ澄まされた集中力でプレーするのを間近で見て、ともに体験できたのは、本当に特別なことだった」

 加えて、カリーのルーティンを手本に研鑽してきた彼は、自分らしくプレーすることの手応えも得た。

「彼ら(チームメイト)は僕に自分らしくプレーさせてくれる。みんなに溶け込んでプレーできた。今夜は間違いなく特別な瞬間だった」

 そしてこれこそが、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)の狙いであり、「経験豊富なベテランと、(プレーオフが)どんなものかを体験中の新入りが混在している、我々は面白いミックスチームなんだ」と、現在のウォリアーズを描写している。

 プールはいまや、トンプソンとカリーが形成する“スプラッシュ・ブラザーズ”の三男と言われ、今季のMIP(最も成長した選手)候補に推す声も挙がっていた。

「チャンスは絶対に来る。でもそれがいつ来るかはわからない。だからいつ来てもいいように、常に最高の準備ができている状態にしておくこと。どんな状況にも対応できるようにね」

 それが彼のモットーだそうだ。まだ22歳と伸びしろ十分のプール。ファイナルでの活躍も期待できそうだ。

文●小川由紀子
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