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NBA

「並の21歳じゃない」ピストンズのカニングハムが今季急成長した理由、そして成熟さの裏にあった“ふたつの出来事”<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.11.07

 ヤニスの身長は213cm、一方でアレンは193cm。この20cm差を利用して、確実に得点を狙いにいくという冷静な判断だった。

 そんなカニングハムについて、ピストンズのドゥエイン・ケイシーHC(ヘッドコーチ)は、「マイアミ・ヒートのカイル・ラウリーら、NBAでも数人しか持っていない素質を持っている」と評価している。

「彼は生まれながらのリーダーだ。彼もほかの若いプレーヤーと同じようにミスを犯すかって?それはもちろんだ。しかし彼は、自分が失敗したら、そのことに自分ですぐに気がついて修正できる。もの凄く賢い選手だよ。並の21歳ではない。

 彼と話していると、とても達観した人物であることがわかる。このリーグで現在何が起こっているか、すべて把握しているんだ。古い魂を持っていると感じるよ。ただの新進気鋭の若手とは違う。まるで、もうずいぶん長い間このリーグにいるプレーヤーのようだ」
 
 彼の母キャリーも、かつてインタビューで「ケイドは昔から、年齢よりも成熟した子どもだった。常に自分がやることについて、責任を持って行動する」と証言しているが、その彼をさらに成熟させた出来事がふたつある。

 親友の死、そして父親になったことだ。

 カニングハムは、地元テキサスで過ごした頃の親友2人を、それぞれ16、17歳という多感な時期に、相次いで亡くしていた。そのことが彼に独特の人生観をもたらし、9月に21歳の誕生日を迎えた時にも「21歳まで生きて、こうしてここにいられるなんて、僕は恵まれている。来年もまたこうして誕生日を迎えて、さらなる恵みを感じたいものだよ」とコメント。21歳の若者からはなかなか聞けないセリフだが、日々をいかに充実して過ごすか、その重みを彼は常に実感しながら生きていた。

 それからカニングハムは、大学に進学する前に父となった。今年で4歳になるライリーちゃんは、彼にとって「身体の中に幸せの塊が詰まった存在」だという。そしてなにより、最大のモチベーションの源だ。
 
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