2023年のNBAドラフト１位指名候補が、アメリカに初見参して話題となっている。

　その逸材の名は、ヴィクター・ウェンバンヤマ。このフランス生まれの18歳は、NBAが主催したエキシビションマッチに彼が所属するフランスのメトロポリタン92が招かれ、ラスベガス郊外を新たな拠点とするＧリーグのイグナイトと対戦したのだ。

　世界的にそれほど知名度の高くなく、ユーロリーグにも参戦していないメトロポリタン92が招待されたのは、ウェンバンヤマがいたからにほかならない。 フランス代表のユースチームがアメリカ遠征をしたことはこれまでもあったが、プロのクラブチームが、シーズン途中に（フランスリーグはすでに開幕）海を超えて対外試合を行なうのは、前例のない事態だった。

　しかしウェンバンヤマがこの夏、メトロポリタンと契約すると、その直後に彼のエージェントからこの遠征について打診があり、それから24時間後には、Ｇリーグの会長から正式に招待があったと同球団のフロントは明かしている。
  　この対戦がさらに注目を集めたのは、ウェンバンヤマとドラフト１位の座を争う、イグナイトのガード、スクート・ヘンダーソンとの直接対決。本人同士も意識していたようで、試合が開始する前から２人の間には火花がバチバチと散っていた。

　ウェンバンヤマは、試合前のメディア取材でヘンダーソンについて聞かれると、「彼は素晴らしいプレーヤーだ。もし僕が生まれていなかったら、彼がトップ指名にふさわしい」と、大物感たっぷりの“上から”発言。

　一方、チームメイトからこの発言について聞かされたというヘンダーソンは、「人が何を発言しようと気にしていない。１位指名は僕の目標だ。僕の闘争心やファイティングスピリッツは、僕が挑戦するすべてのことにおいて、トップに立ちたいという気持ちを起こさせる」と応戦した。

　２人は試合前夜のレセプションパーティーの場で互いのユニフォームを交換したが、握手をかわすことはなかった。