専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

至宝ウェンバンヤマや名手マジックも来場した特別な夜。パリゲームにラビーンは「チームメイトとの仲も深まった」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.01.22

 試合までの数日は、両チームとも、トレーニング以外に地元の学生を対象にしたバスケットボールクリニックを行なったり、エッフェル塔といった観光名所も訪れた。

 また、ピストンズのハミドゥ・ディアロは、地元のプロサッカークラブ、パリ・サンジェルマンの育成アカデミーをサプライズ訪問。

「自分のキャリアも、こうした育成アカデミーでスタートした。若い選手たちが励む姿を見て、改めて自分の足跡を振り返りたかったんだ」と語った19年のダンクコンテスト王者は、PKに挑戦するなど、有意義な時間を過ごした。そこで得た若いエネルギーが糧になったのか、試合では21分間のプレータイムで17得点と、際立った活躍を披露した。

 19日の現地時間21時にティップオフとなった試合は、序盤からリードしたブルズが主導権を握る形で勝利。コート上で唯一のフランス人選手だったピストンズのキリアン・ヘイズは、8アシストと奮闘したが、フィールドゴール13本中2本のみの4得点と不発に。

 ピストンズのドウェイン・ケイシー・ヘッドコーチは試合後の会見で、「(ヘイズは)地元ということでちょっとエキサイトしてしまっていたのかもね」と苦笑していた。

 ゲーム前日にフランスのエマニュエル・マクロン大統領とも会談したNBAのアダム・シルバー・コミッショナーは、今後リーグは、フランス政府やフランスバスケットボール協会とより強固に協力して、フランスやアフリカ大陸でのバスケットボール振興に一層力を入れていくことで合意したと会見で発表した。
 
 来年にはパリでオリンピックとパラリンピックが開催されることや、ウェンバンヤマの登場もあり、パリでのレギュラーシーズンマッチは今後も定期的に開催されることになりそうだ。また、ヤニス本人からの直訴もあったそうで、国民のバスケ熱が高いギリシャでのバックス戦なども検討しているという。

 こうした別大陸でのレギュラーマッチについての感想を聞かれたブルズのデマー・デローザンは「移動時間も長いし、いろいろとイベントなども組み込まれているという点はあるけれど、ティップオフすれば、いつもの試合と変わらない、同じ48分間だよ」と笑顔で回答。

 両チームのヘッドコーチも、違う文化に触れてリフレッシュしたり、家族を伴った遠征をすることでチーム間の絆が深まる意味でも、今回のパリゲームはとても有意義だったと話していた。

 またシルバー・コミッショナーは、カリーム・アブドゥル=ジャバーが持つ3万8387得点のリーグ最多得点記録の更新に迫っているレブロン・ジェームズについて、新記録達成が実現した際には、リーグとして特別なセレモニーを考えているとの構想も明かした。

 公共交通機関がストライキという困難な状況下で開催されたパリゲームだったが、会場は、まるでアメリカ本国で試合を見ているかのような雰囲気と熱気に包まれ、フランスでのバスケ熱を大いに盛り上げる特別な夜となった。

文●小川由紀子
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号