「身体に気をつけること。健康体でいることはすごく大事なことだ。多くの試合、練習、シュートアラウンドをこなしていくことで、これから消耗していくことになる。そこで自分の身体、メンタル面にも気をつけていくんだ。そして自分のゲームに磨きをかけ続けていくこと」（アデトクンボ）

「彼に言うとすれば、その瞬間を楽しむことだね。長いキャリアにおける１年目なんだ。でも彼にとって僕の助言は必要ないかな。彼のプレーぶりや、あの信じられないほどの才能を見ればわかるよね。僕だってそのプレーを観て楽しんでいるよ。初戦で対決した時、すごく特別だったことを覚えている。自分のNBA最初の試合を思い出したよ。あのような瞬間は、これからもずっと記憶に残るものなんだ」（ドンチッチ）

「偉大な選手になるべく、彼はどんなことでもやるし、コーチ陣の話にも耳を傾けている。それがとても重要なんだ。それが成長し、上達を続けていくうえで大きな部分になってくる。彼はすでにリーグで旋風を巻き起こしているね。極端に細身の体格でリーグ入りしたからこそ、まだまだ成長の余地がある」（ポルジンギス）

　アデトクンボはリーグ入り後に強靭なフィジカルとスキルを身につけ、ドンチッチは初年度からマブズのエースを務め、現在ではリーグ指折りのスーパースターへ成長、ポルジンギスはケガに見舞われながらもリーグ有数のビッグマンとしての地位を確立してきた。
  　そして昨季初のMVPに選ばれ、今季もシクサーズの大黒柱として君臨するエンビードは、ウェンバンヤマについてこう話していた。

「批判的になりすぎないこと。もちろん、素晴らしい才能が備わっている。今はすごく注目を浴びているけど、彼ならその期待通りの選手になっていくと思う。まずは彼がガードなのか、ビッグマンなのか、どのポジションでプレーしたいのかを考え出す必要がある。KD（ケビン・デュラント／フェニックス・サンズ）、あるいは俺になりたいのか？ KDじゃなくとも、誰だってそういった選手たちを組み合わせた選手になりたいものさ。

　今は少し彼のプレーが強制されているように感じることもあるが、別に悪いことじゃない。うまくなっていくにはそうしたことを乗り越えて学んでいくしかない。たくさん失敗して、そこから学んでいくんだ」

　スパーズは序盤戦でウェンバンヤマをパワーフォワードで起用していたが、12月８日のシカゴ・ブルズ戦から先発センターへスライド。すると19歳の新星は８試合連続ダブルダブルと見事なパフォーマンスを披露した。

　無限の可能性を秘めた未来のスーパースターは、そのパフォーマンスとともにどのような成長曲線を描いていくのか。ファンはもちろん、選手たちからも注目されていることは間違いない。

文●秋山裕之（フリーライター）

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