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NBA

審判の賄賂を示唆する“マネーポーズ”で罰金10万ドル。ゴベアはスポーツ賭博が定番化するリーグに警鐘「そうあるべきじゃない」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2024.03.22

 選手の審判に対する“マネーポーズ”は、ゴベアが初というわけではない。

 ダラス・マーベリックスのルカ・ドンチッチも、昨年3月のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦で、コールされなかった相手のファウルに憤って札束を数えるようなジェスチャーをして、3万5000ドルの罰金を喰らっている。

 キャブズ戦のあとゴベアは、「このスポーツは蝕まれている。ベッティングの重要性が増しているのは知っているが、そうあるべきじゃない」とコメントしている。

 確かにNBA は現在、『FanDuel』、『DraftKings』 というスポーツベッティング2社をオフィシャルパートナーに抱え、大手の『bet365』を筆頭に15社、さらにローカルの9社をオーソライズ会社として公式スタッツ等の情報を提供している。

 ただ、ベッティング会社との提携はNBA に限ったことではなく、ゴベアの母国フランスのプロサッカーリーグでも、業界大手の『Betclic』がメインスポンサーの一角であるように、現在のスポーツビジネスにおいては定番だとも言える。

 ゴベアが今回このような行為に及んだのは、対象の主審が、以前から賄賂に関係していると噂されるフォスターだったからにほかならない。
 
 フォスターは、2000年代に数々の八百長に関与して15か月の禁固刑を受けた元審判のティム・ドナヒーと親しい間柄にあると言われている人物。

 ドナヒーの事件は『Netflix』のドキュメンタリー番組(『UNTOLD:コートに潜む八百長の闇』)にもなっているのだが、米『FOXニュース』などは、ドナヒーが八百長行為を繰り返していた頃、彼は自分のガールフレンドよりもフォスターに頻繁に電話をかけていた、といった通話記録もすっぱ抜いている。

 フォスターはクリス・ポールといった特定の選手への当たりが厳しいことでも悪名高い。ポール自身は、関係が悪化したのは自分の息子が原因だろうと以前話している。詳細は語っていないのだが、フォスターが帰ろうとした時にポールの息子が遊んでいて道をふさぎ、いさかいになったらしいと、以前ギルバート・アリナスが明かしている。

 ちなみにそのアリナスは、自身のYoutube番組『Gils Arena』でゴベアの件に触れ、「ある1人のレフェリー」とフォスターを示唆した上で、「こういう件をなくすには、このような人物をNBAから排除するしかない」と断じている。

 彼に関しては、国際規模のオンライン署名サイト『Change.org』で、「フォスターをNBAから追放しよう」という案件が持ち上がったこともあるほど、選手のみならずファンからの評判も最悪であるから、ゴベアの問題提起に賛同する識者やコメントも数多く見られる。

 もちろん、選手が“マネーポーズ”のような形で審判に対して賄賂の疑惑を向ける行為は、モラル的にあってはならないが、「バスケに限らず、笛を持っている人物がパワーを握っている。だからこそ、人々が疑念を抱くような“胡散臭い”人物がそうした権限を握ってはならない」と強調したアリナスの意見には、説得力があった。

文●小川由紀子

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