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NBA

「僕に合っている」本命ウィザーズに入団したアレックス・サール。ドラ1リザシェイと正反対の道のりを歩んだ19歳がNBAに辿り着くまで<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2024.07.02

 そのダフィー氏は、「指名順にこだわるのではなく、サールにとって最適な環境を探した」とフランスのレキップ紙にコメント。続けて「サールのような素質を持った選手は、非常に需要が高い」とも話している。

 ビッグマンに求められるリムプロテクターの役割を果たしつつ、俊敏な動きでゲームメークに絡み、ロングシュートも打てる。サールはコートの両サイドでインパクトを与えられる万能型だ。

 ウィザーズに照準を絞っていたサールは、1位指名権を持っていたアトランタ・ホークスからのドラフト前のトレーニング参加の誘いも固辞。その代わり、カリフォルニア州サンタバーバラの体育館にこもり、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)らを指導したことでも知られるプライベートコーチのパッキー・ターナーの指導のもと、ドラフトコンバインに備えた。

 そこで彼は、漫画『スラムダンク』の桜木花道の夏合宿のごとく、2万本近いシュートを打った。猛特訓の成果か3ポイント成功率は39%から45%へと飛躍的に向上した。

「彼は力学的に良い動きをする。ボールの出し方もいい。それを見ただけでも、彼が良いシューターになるという感触を得られる。しかし脚の使い方や、骨盤をしっかり固定させる術をもっと学ぶ必要がある」(ターナー)
 
 ターナーとのトレーニングと並行して、サールはスポーツ科学博士が編み出したフィジカルトレーニングを週6回行ない、徹底した身体作りにも励んだ。

「ウィザーズは昨シーズンよく見ていたチームで、若い選手が多く、プレーのペースがものすごく速い。プレースタイルも僕に合っている。とにかく、次のシーズンにインパクトを与えるプレーをしたい。自分が持てるベストを出し尽くして、ハードにプレーしたい。これは最高の機会だ」

 そう語るサールのマインドは、すでにウィザーズでプレーする自分の姿にセットされているようだ。

 チームでは、去年のドラフト7位指名で入団した同胞のビラル・クリバリーとの共闘も待っている。メトロポリタンズ92時代にウェンバンヤマと絶妙なコンビプレーを見せていたクリバリーと、今度はサールがワシントンで強力デュオを形成することになるかもしれない。

 異なるキャリアを辿って同じNBAの舞台への到達したリザシェイとサール。ドラフト上位2位を独占したフランスの19歳は、それぞれのチームでどんな活躍を見せてくれるだろうか。

文●小川由紀子

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