さらに、欧州で囁かれているNBAの欧州進出構想の背景として、若手選手の育成がある。
NBAには、かつてデベロップメントリーグ(Dリーグ)という名称だったGリーグがあるが、2WAY契約などは存在するにしても、将来のスター選手を育てる場にはなり得ていない。
その点、シルバーの発言にもあるように、現在のNBAで欧州出身選手の活躍は目覚ましく、直近の6年間のうち5シーズンのMVP受賞者は、欧州のクラブで育てられた選手たちだ(ヤニス・アテトクンボ/19、20年、ニコラ・ヨキッチ/21、22、24年)。
NBAが欧州に進出することになれば、アメリカ出身の選手が欧州クラブの育成組織で鍛えられる機会が生まれる。逆に、NBA行きを夢見る欧州出身の若手選手にとっては可能性がより広がることにもなるだろう。
冒頭のFIBAの会見でも、ザグリス事務局長は、その場合に足枷になる選手の契約面の問題を見直すことを検討していると語ると同時に、欧州からNCAA(アメリカの大学リーグ)に進学する若者の数が増加していることを指摘。そのことが、それまで彼らを育てた出身クラブや、選手自身の学業面に与える影響を考慮し、対策を講じる必要があるとも語っている。
では実際に両リーグがどのような絡み方をするのかだが、ギリシャのパナシナイコスやスペインのレアル・マドリー、トルコのフェネルバフチェといった、実績もファン数も欧州トップクラスのクラブがNBAの一部に組み込まれる、というプランがひとつ。
一方、セルビアのメディアは先月、「NBAが欧州に別リーグを作る計画がすでに進行している」と報じていた。
また、元スペイン代表のビッグマンで、現在はFIBAヨーロッパの会長を務めるホルへ・ガルバホサは、「NBAは(欧州バスケ界の)問題点を検証し、その上で参入することを決めた。いつ、どのようにかはわからないが、参入するだろう」と、スペインのスポーツメディア『Marca』とのインタビューで明言。その場合は、「NBAはFIBAヨーロッパとの提携という形で行なうことになる」と話している。
元ミネソタ・ティンバーウルブズのフロントで、現在はフランスのクラブ、パリ・バスケットボールのオーナー兼GMのデイビッド・カーンも、先月開催されたカンファレンスの席で、「どのように、あるいはどんな方法でかはわからないが、NBAが2年以内にヨーロッパで強力かつ具体的な取り組みを行なうと、私は予測している」と発言した。
今季がユーロリーグ初参戦のパリ・バスケットボールは、直近までリーグ首位に立つなど欧州に旋風を巻き起こしているが、74-71で激戦を制した第8節のパルチザン戦後、NBA通の関係者2人がカーン氏のもとへ来て「これまで見た中で最もエキサイティングな試合だった」と述べたそうだ。その時カーン氏も、欧州バスケが需要のあるコンテンツであることを確信したと語っている。
NBAは、2025-26シーズンから11年間にわたる放映権契約が、ディズニー(ABC/ESPN)、NBC、Amazonの3社間で総額760億ドル(約11兆6300億円)という、NBA史上最高額となることが決定した。そのスケールアップは、大陸を超えるところまで発展させることになるのだろうか。
この1、2年の間に、世界のバスケットボール界に大きな変化が起こるかもしれない。
文●小川由紀子
NBAには、かつてデベロップメントリーグ(Dリーグ)という名称だったGリーグがあるが、2WAY契約などは存在するにしても、将来のスター選手を育てる場にはなり得ていない。
その点、シルバーの発言にもあるように、現在のNBAで欧州出身選手の活躍は目覚ましく、直近の6年間のうち5シーズンのMVP受賞者は、欧州のクラブで育てられた選手たちだ(ヤニス・アテトクンボ/19、20年、ニコラ・ヨキッチ/21、22、24年)。
NBAが欧州に進出することになれば、アメリカ出身の選手が欧州クラブの育成組織で鍛えられる機会が生まれる。逆に、NBA行きを夢見る欧州出身の若手選手にとっては可能性がより広がることにもなるだろう。
冒頭のFIBAの会見でも、ザグリス事務局長は、その場合に足枷になる選手の契約面の問題を見直すことを検討していると語ると同時に、欧州からNCAA(アメリカの大学リーグ)に進学する若者の数が増加していることを指摘。そのことが、それまで彼らを育てた出身クラブや、選手自身の学業面に与える影響を考慮し、対策を講じる必要があるとも語っている。
では実際に両リーグがどのような絡み方をするのかだが、ギリシャのパナシナイコスやスペインのレアル・マドリー、トルコのフェネルバフチェといった、実績もファン数も欧州トップクラスのクラブがNBAの一部に組み込まれる、というプランがひとつ。
一方、セルビアのメディアは先月、「NBAが欧州に別リーグを作る計画がすでに進行している」と報じていた。
また、元スペイン代表のビッグマンで、現在はFIBAヨーロッパの会長を務めるホルへ・ガルバホサは、「NBAは(欧州バスケ界の)問題点を検証し、その上で参入することを決めた。いつ、どのようにかはわからないが、参入するだろう」と、スペインのスポーツメディア『Marca』とのインタビューで明言。その場合は、「NBAはFIBAヨーロッパとの提携という形で行なうことになる」と話している。
元ミネソタ・ティンバーウルブズのフロントで、現在はフランスのクラブ、パリ・バスケットボールのオーナー兼GMのデイビッド・カーンも、先月開催されたカンファレンスの席で、「どのように、あるいはどんな方法でかはわからないが、NBAが2年以内にヨーロッパで強力かつ具体的な取り組みを行なうと、私は予測している」と発言した。
今季がユーロリーグ初参戦のパリ・バスケットボールは、直近までリーグ首位に立つなど欧州に旋風を巻き起こしているが、74-71で激戦を制した第8節のパルチザン戦後、NBA通の関係者2人がカーン氏のもとへ来て「これまで見た中で最もエキサイティングな試合だった」と述べたそうだ。その時カーン氏も、欧州バスケが需要のあるコンテンツであることを確信したと語っている。
NBAは、2025-26シーズンから11年間にわたる放映権契約が、ディズニー(ABC/ESPN)、NBC、Amazonの3社間で総額760億ドル(約11兆6300億円)という、NBA史上最高額となることが決定した。そのスケールアップは、大陸を超えるところまで発展させることになるのだろうか。
この1、2年の間に、世界のバスケットボール界に大きな変化が起こるかもしれない。
文●小川由紀子
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