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NBA

“大学のオファーゼロ”から“NBAファイナルのヒーロー”へ。逆境を乗り越えたデリック・ホワイトの叩き上げキャリア<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.06.06

 スパーズではGリーグに送られてみっちりディフェンスを仕込まれたが、大学時代も下部から這い上がったホワイトにとっては、すべてが成長のための貴重な経験の場だった。

 そんな彼のガッツを象徴するエピソードがある。大学時代のある日、地元で子どもの頃からバスケを教わっていたコーチにホワイトは「マークしている選手にあえて自分を抜かせて、追いかけて後ろからブロックするんだ」と抱負を語ったという。

 高校入学時は170センチしかなく、高校3年の2月になって初めてダンクができるようになったのを知っていたそのコーチは「なに馬鹿なこと言ってんだ!」と真に受けなかったが、それから間もなくして、試合中にホワイトはそのプレーを実践してみせた。

 NBAに入ってからも、そのようなシーンをたびたび披露している。入団2年目の2019年3月6日、アトランタ・ホークスとの試合ではキャリアハイの6ブロックを記録している。
 
 今年2月、セルティックスにトレードされたことについては「まったく予想していなかったからショックだった」とコロラドの地元紙に話しているが、憧れていたビラップスが、1997年のドラフトで3位指名を受けデビューした球団でファイナルを戦うことになったというのも、粋な巡り合わせだ。

 それにセルティックスのユドカHCは、スパーズ時代のアシスタントコーチでもある。今年はそのトレードに加えて、結婚、プレーオフの真っ最中には第一子が誕生、そしてファイナル進出と、ホワイトにとっては大忙しの上半期だ。

 彼のキャリアを支えてきた父は、2017年のドラフトの前「彼の名前が呼ばれたら、最高の瞬間になる!」と話していたが、その息子は今や、ファイナルの舞台で戦っている。

 周囲のサポート、才能を信じてくれる師との出会い、そしてなにより、本人の努力と信念で「無理」と見限られたことを実現してみせたホワイト。今度は彼自身が、コロラドの少年たちの瞳を輝かせていることだろう。

文●小川由紀子

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